高生産性とは?デンマークの空港運営事例

 北欧旅行の際、私はコペンハーゲン空港であることを見た。航空機のプッシュバック作業は、ワンマン(1人の作業員)で行われていた。一瞬自分の目を疑った。

 航空機が出発する際に、まずエプロンからプッシュバックする(機体を後退させて移動する)。日本の場合、通常この作業に係る作業員は2~3名。トーイングカーを運転するトーイングマン1名と、移動する機体と一緒に歩き状況を確認するウォッチマン1~2名という人員構成である。そして、プッシュバックを終了し、飛行機がタキシングを開始すると、作業員全員が整列し、航空機にお辞儀し、手を振るというお馴染の風景である。

 しかし、コペンハーゲン空港では、トーイングカーと航空機の連結・外し、安全確認、トーイングカーの運転等一連の作業はすべて、トーイングマン1人によって行われている(ボーイングB757機事例)。そのうえ、プッシュバックの速度が速い。もちろん航空機へのお辞儀もなければ、手を振ることもない。

 さらに、搭乗口のスタッフも、1人という完全ワンマン体制に徹底している。搭乗券のバーコード・タッチやスマホのモバイル搭乗、すべて乗客のセルフサービス。日本の場合、搭乗口は最低でも4~6名のスタッフがいる。お辞儀したり、ニコニコして挨拶したりする。そんなのはコペンハーゲン空港では、一切なし。

 チェックイン・カウンターはほぼ無人化している。少なくとも欧州内路線は基本的に、事前ウェブチェックインか空港内の搭乗券無人発行機(Kiosk)を利用しなければならない。バゲージドロップオフは少数を除いて、ほとんどの航空会社は、共通カウンターを使うことになっている。日本のようなカラフルな航空会社別のチェックインカウンターなどは存在しない。したがって、空港ターミナルはそれほど広くない。床面積の1平米当たりの生産性は非常に高い。

 総じて私が直観的な見積もりになるが、3人分の仕事があるとしよう。それが日本で5人でやっているのに対して、デンマークでは2人ないし1人で片付けている。管理会計に基づく高生産性運営に徹しているデンマークに学べることがあまりにも多い。

 もう1つは、消費者の教育水準も自助能力も非常に高い。基本的に業者に依存せず、自立・自律型の消費行動に徹している。これに対して、日本で善とされている「高品質・低価格」はまったく時代錯誤の馬鹿げた産物でしかあり得ない。高品質に低価格を求めると、かならず企業労働者にしわ寄せがくる。ブラック企業の温床にもなる。

 では、日本もデンマーク型の高生産性型経営を導入できるかというと、個別企業の単体ベースでは可能であろう。ただそれが社会に拡散浸透しようとすると、これに追い付かない低生産性労働者が直ちに負け組化し、顕在的失業や貧困階級の急増につながり、政治的にも国家ベースでの実現は現状を見る限り困難であろう。これは、日本が抱え込んでいる宿命である。