<KL>素朴さと美味しさ、ノスタルジー満点の旺旺海鮮飯店

 一昨日、金曜日の夜。クアラルンプールで「日本人女性による政治勉強会」を開催。私は黒一点のコーディネーター役を務めた。

 稲田朋美防衛相や小池百合子東京都知事の誕生。最近はまさに、女性が政治の舞台で活躍する時代の幕開けである。政治の議論は男性の特権でもなんでもない。特に海外で暮らす日本人女性、祖国日本に対する思いから芽生えた政治の意識。原石に隠される輝きのようなもので、素晴らしい。

160805-1805-KL-旺旺海鮮飯店旺旺海鮮飯店

 政治は堅苦しいものではない。堅苦しくする必要もなければ、してはいけない。食べながら、飲みながら、リラックスしながら、それぞれの思いを素朴に語ればいい。そんな「街角国会」があればいい。素朴な議場を提供してくれる抜群の場所があった――。クアラルンプールの西端、素朴な住宅地チェラスの一角。これもいたって素朴な広東・客家料理店「旺旺海鮮飯店」。店を切り盛りするのは、日本でも長く料理経験を積んだ華人シェフと日本人妻・坪井さんである。

160805-1843-KL-旺旺海鮮飯店タイ式クリスピーな塩味豚足

 料理の印象と聞かれると、私は迷わず、「素朴さと美味しさの融合」と答える。タイ式クリスピーな塩味豚足も、紹興酒風味の蒸し鶏も、何と言ったらいいか。家庭料理の温かみ、おふくろの味に隠れる郷愁がじわじさと伝わる品々である。

160805-1843-KL-旺旺海鮮飯店_01紹興酒風味の蒸し鶏

 食材を生かしながらの手作り感満点。広東系料理の洗練されたイメージよりも、客家系の地味さが目立ってしまうところ、私個人的に大好きだ。特に土地柄、南洋に渡った華人たちによって世代を超えて伝承された古き時代の面影、そんなノスタルジーが漂う料理はもはや、記憶文化財の次元で語りたい。

160805-1921-KL-旺旺海鮮飯店本日のナマズ土鍋

 本日の魚料理は、ナマズである。ハタが派手すぎるので、泥臭いナマズがこの集いに似合う。汁が濃厚、香ばしく、余韻がたっぷり残る最高の一品である。どの料理も期待を裏切らない、いやいや期待を超える美味さで酒がどんどん進む。エビ料理が出たころ、だいぶ酒がまわり、政治の議題も未完のまま次回へ持ち越されることになった。

160805-1924-KL-旺旺海鮮飯店エビ料理

 酒といえば、ベトナムから持ち帰った米酒を2本持参した。それが大正解。アルコール度が50度近くとややきつい酒だが、米の香りがよく、特に料理には最高の相性である。女性陣はみんな酒が強い。米酒2本とワイン1本、プラスビール数本、次々と開けられた。

160805-1838-KL-旺旺海鮮飯店_01ベトナム米酒

 本当に素晴らしい店だった。また行きたい。

旺旺海鮮飯店(KK Wong Seafood Restaurant)
No.18 Jalan Kaskas 3, Taman Cheras, 56100, Kuala Lumpur
TEL:+603-9133-3621