コタバル滞在のもう一つの目的は、マーケットの見学。中央市場、セントラル・マーケットでマレー語では、「Pasar Besar Siti Khadijah」という。生鮮食料品はもちろんのこと、衣料や雑貨、一部土産物まで取り扱っている、まさに総合市場である。
冒頭に感想からいうと、活気があっても、商売気がない。
これは何もコタバルに限った話ではない。マレーシア全体、いやもしや、ムスリム系全体に共通する現象なのかもしれない。本当に商売気を感じないのだ。
客が商品を手に取ってみたり関心を示せば、普通なら売り子は「さあ、いかがですか」と商品の自慢をしたり、セールストークを掛けてくるだろうが、マレー系の売り子はあまりそうしない。全般的に、客への無関心さが目立つ。そこで、批判的な目線を向けてはいけない。
売れるものは自然に売れていくだろう。これもひとえに神の意志であって、人間が逆らって商売に過剰な熱心を示したり、セールスを仕掛けたりするのがよくないと、そういう認識もあるだろう。
実は何を隠そう。私自身もほとんど営業活動をしない人間なので、妙に納得感と親近感を持つのである。熱心な売り込みが鬱陶しくて市場を敬遠する私にとって、ここならゆっくり歩いて回れるのが嬉しい限りだ。