アラブの旅(27)~階級社会の世界、砂漠リゾート本日も晴天なり

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 アラブの旅。クウェート、バーレーン、オマーン、ドバイを回って、最後の3泊はドバイ郊外のバブ・アル・シャムス砂漠リゾートで休養を取る。

 砂漠の真ん中、オアシスのような緑に囲まれるリゾート。これを維持するには莫大なコストがかかる。雨がほとんど降らないので植物に必要な水分だけでも大変だ。早朝から広大な芝生敷地に輪番で、スプリンクラーによる散水が長時間にわたり行われる。

 その緑と砂漠を一望するレストランでは、小鳥のさえずりをBGMに宿泊客が優雅に朝食を取る。砂漠リゾートの朝、まさに至福のひと時である。

 そのレストランの一角、もっとも眺望の良いコーナーに、毎朝、ある特別のテーブルがセットされている。真っ白なテーブルクロスに高級ブランド食器、そして花・・・。レストランのマネージャーが自ら案内し、シャンパンを注ぎ、サーブする客は、白髪の老紳士と30代女性のカップルだ。

 特権階級が特別扱いされるのは当たり前だ。アラブ社会は、紛れもなく階級社会である。ヒエラルキーは悪でもなければ醜でもない。空気や水のような存在に過ぎない。

 砂漠リゾートは本日も晴天なり。そして、日没。美しい月が昇るアラビアンナイトがやってくる。

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