たかがカウンターされどカウンター、KLすし麻布

 マレーシアもそうだが、海外では寿司店のカウンターにとにかく人気が集中する。英語では「Sushi Bar」と言うだけに、寿司職人の演出を楽しむ特等席だからである。

 一昨日、クアラルンプールの「すし麻布」(伊勢丹Japan Store内)で食事したときの一幕であった。

 私も前日昼に予約を入れたところで、カウンターが満席と言われテーブル席になった。夕方18時過ぎに入店し、やはり満席と告げられたところ、あとでカウンターにもし空きがあったら移してほしいとお願いして、テーブルに着席した。

 しばらくすると、隣のテーブルに同じような状況を抱えるマレーシア人(華人)家族3人が、「カウンターがたくさん空いているじゃないか、何でダメなんだ」と文句を言いながらも、着席した。

 食べながら観察していると、12席のカウンターは終始半分も埋まらない状態が続いた。19時30分ごろ、どうも予約のない客が数人入ってきて、カウンターに案内された。

 私は店長を呼んで確認したところ、やはり「Walk in」(予約なし)の客だった。これを聞き付けた隣のテーブルはさすがに納得できなくなり、「It is not fair」(不公平だ)とクレームを言い始めた。もちろん、私も抗議した。

 人気の高いカウンター席の稼働率が低いのは、回転制にしないからだ。2時間ほどの区切りで回転させれば、生産性がだいぶ高まるだろう。もちろん、店の方針で1回転のみとするならそれでもいいが、ただ「Walk in」の客をそのままカウンターに通すのは理にかなっていない。

 さらに注意深く見ると、カウンターに着席した若いマレーシア人のカップルはなんと、茶碗蒸しだけ食べて帰って行ったのだ。もちろん酒も一滴飲まずお茶だけだった。市場原理からいえば、個室と同じメカニズムで、プレミアム席のカウンターに最低消費金額を設けても良いのではないかと思う。

 店の経営というのは、やはり稼動率と生産性を重視する必要があるだろう。現状の改善にいかに取り組むべきか。店長が常時ホールに張り付いて目を光らせ、能動的に問題意識をもたなければ、ディテールの把握も改善も難しいだろう。大変残念に思う。

 最後に、料理のクォリティーに触れてみたい。食材も職人の腕も、「すし麻布」は期待通り、いやある意味で期待以上に素晴らしかった。お酒も豊富に用意されている。全体的に、値段設定も適正だった。むしろリーズナブルだと思う。もうちょっと利益を出してほしい。

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