中国ゼネコンの施工、マレーシアの高級不動産物件

<前回>

 マレーシア不動産投資の話の続き。コンドミニアムを買うなら、せいぜいどこの誰が建てたか、不動産業者が教えてくれるのだろうか。いまのマレーシアのコンドミニアムの多くは、「Made by China」だ。

 クアラルンプールの中心部。高所に登ってみると、こんな風景が広がる。中国ゼネコンが施工しているビルがあちこち林立しているのだ。なかに高級物件も多数含まれている(ブキットビンタンのPavilion Suitesや、KLCCのFour Seasonsなども)。

 中国企業の施工といえば、凄まじい「コストダウン」を想起せずにいられない。だからこそゼネコンの収益性が高いわけだ。固定概念で差別するつもりはないが、個人的には、中国系ゼネコン施工の高級物件は「No, Thank you」で敬遠したい。

 マレーシアには中国系企業がいま殺到している。これはナジブ政権の親中政策とは無関係では決してない。2015年11月に、クアラルンプールで開かれた東アジアサミットの際、安倍首相は、米比などと組んで南シナ海の問題で中国に包囲網を張ろうとしたところ、議長国マレーシアのナジブ首相は何と、ほとんどボイコット状態だった。

 ナジブ氏は当時、政府系投資会社ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)をめぐる一連の疑惑と巨額の債務によって、巨大な政治的圧力がかかって、退陣の瀬戸際だった。そこで、ナジブ氏を助けたのは中国の習近平政権だった。マレーシアに大量のチャイナ・マネーが流入したことで、ナジブ政権は死の危機から逃れたのだった。

 中国の恩に報いるべく、ナジブ氏が政権の座にとどまる限り親中路線を変更することはあるまい。そういう意味で中国企業のマレーシア市場への食い込みは、もはや止めることができない。不動産投資の話から少々脱線したが・・・。

<終わり>

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