アイスランドは地味ながらも、紛れもなく美食国家である。と、私は断言する。
北欧に美食なしという通説は覆されなければならない。あるいは、そもそもアイスランドを「北欧の例外」にしたほうが良いのかもしれない。
美食といえば、基本的に素材と調理という2つの判断基準がある。アイスランドの場合、どちらもクリアしている。料理の一つひとつにシェフの魂が生きている。もっと美味しくしようという衝動がひしひしと伝わってくるのだ。
過剰な飾りがない。シンプルさというのはまさに北欧的だ。シンプルさ、新鮮さ、純粋さを重視し、素材の持ち味を単純明快に表現する。といった印象がとても強かった。
もう1つ、バターが美味しいこと。ほぼどのレストランも独自のバターを出してくれる。ハーブ風味だったり、シンプルな塩味だったり、料理に先立ってパンを食す楽しみがドラマの序幕のように、期待感を抱かせてくれる。
アイスランド滞在中の食事は、ハズレがなかった。