グリーンランド(6)~極寒の地、カラフルな街並みと白夜

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 イルリサットの家々は、カラフルだ。北極圏、暗くて灰色のイメージがある。長い冬と極寒、陰鬱な日々が続く中、視覚や気分を明るくしてくれるのがこの鮮やかな街並みである。

 そして短い夏には、白夜が訪れる。ミッドナイトサンといって、真夜中の太陽が極北の地を照らし、生命力の回復を謳歌しようとする。けれど、その太陽の光はなぜか切なく、冷たさすら感じさせるのである。

 暖かさを与える前に、白夜の太陽はまず寒さと戦わなければならないからだ。光と熱は必ずしも共存しない。白夜はある意味でその相反関係と営みを示唆するものだ。

 人生には漆黒の闇がしばらく続くと、幻想的な白夜が訪れることがある。それが暖かさを伴わない明るさだったりし、タンゴのように情熱的なリズムに合わせて一縷の切なさが妖艶に踊る。

 青春、朱夏、白秋、玄冬。人生は一度限りの四季に喩えられつつも、角度を変えてみれば、光と闇の移り変わりとも見て取れる。人生は苦痛の連続だ。故に裏返せば、何をすればよいかを考え抜くのが人生なのだ。

 闇にただひたすら堪えるよりも、そこで心の白夜を自ら作り出すことこそが積極的なニヒリズムではないか。その白夜の太陽は幻想的で弱々しくも冷たいかもしれない。でも、少なくとも漆黒の闇よりはましだろう。

 光さえあれば、カラフルな色彩も意味を持ち始める。積極的な人生とは意味を作り出すものだ。

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