「貴族過剰」と「奴隷不足」、日本社会の本質的問題

 日本の現今の人手不足は、正確に言うと「奴隷不足」だ。さらに正確に言うと、「貴族過剰」に起因する「奴隷不足」なのだ。

 正社員たる「貴族制度」の生産性が限りなく低下している。すると、奴隷の不足が目立って、問題になる。だったら売り手市場になって奴隷の労賃がどんどん上がるはずだが、それは実際に上がっていない。組織としての生産性が低いうえ、市場の競争が激化し、多量の貴族の既得利益を維持するためにも、そう簡単に奴隷の労賃を上げられない。

 問題はここ。貴族の選抜と振り落としが必要なのだ。貴族に適していない人間を排出し、下層階級や奴隷に転落してもらうことだ。この均衡化作業は、階級間の行き来を可能にする流動性が必要だ。つまり、仕組みの改変が欠かせない。しかし、いまの日本社会はこの仕組みの変更に準備ができていないし、基盤も不在である。

 欠格の正社員を一方的に解雇できる仕組みだ。昨今、非正規雇用労働者の問題は提示されたが、その解決法としては単純に非正規雇用労働者の正社員化では決してない。ただでさえ、「貴族過剰」の日本は、1憶総貴族化すれば、崩壊する以外に道が残されていない。

 正規雇用と非正規雇用、つまり貴族と奴隷の双方向流動性が必要なのだ。これが今の日本社会、労働市場の本質的な問題だ。

「「貴族過剰」と「奴隷不足」、日本社会の本質的問題」への2件のフィードバック

  1. 大変参考になるご主張です。

    >ただでさえ、「貴族過多」の日本は、1憶総貴族化すれば、崩壊する以外に道が残されていない。

    まったく、その通りかもしれません。

    では、逆に1億総奴隷化すれば、崩壊せずに済むのか。奴隷が増える方向になれば、国は栄えるのかという疑問が出てきます。

    当然のことですが、奴隷化された人々は満足な教育、満足な食事もとれなくなります。安定した住居にも住めなくなり、都市、街はスラム化するでしょう。

    奴隷は車を買わないでしょう。消費は急激に落ち込むことでしょうから、国内マーケットは縮小し、企業は倒産。戦後の闇市のような状態が進みます。現在のメルカリなどはネット露店とも言えますね。新しいものは買わず、中古で間に合わせる社会になってきています。

    頼りは輸出ですが、一時的には、日本に奴隷が増えて、低価格な労働が十分に入るようになれば、競争に有利になるかもしれませんが、しかし、外国も同様な手立てを打てば、奴隷化はまったく無意味となります。

    つまり、世界総奴隷化ですね。ウィン・ウィンならぬ、ルーズ・ルーズというわけです。

    グローバル化が進んでいるから、低価格な労働力を!企業が・金持ちが逃げるから税金を下げろ!というのは、結局、各国の金持ちの論理で、問題の解決にはならず、逆に悪化するだけで、国民の多くは誰も得をしない。世界中の皆がどんどん貧しくなり、数パーセントの裕福な人がより裕福になるだけのことですね。

    立花先生がおっしゃる庶民からの脱出とは、結局のところ、「この数パーセントに入りましょう。庶民には奴隷生活しか待っていない」ということですが、民主主義国家がこのような未来しか描けないようであれば、民主主義国家は、「中国の夢」にすら及ばないということになります。無制限な競争は、投資家のもとに利益を蓄積するだけであり、国民の多くには何の利益ももたらさないのは明らかです。

    1.  私の仕事は、国を救うことでもなければ、世界を救うことでもない。過酷な時代においても、可能な限り、特定の組織や個人(顧客)を救うことです。私の仕事は競争を止めることではない、顧客が競争を勝ち抜くよう手助けすることです。

       平たく言ってしまえば、私は世界を変える専門家ではなく、人間を変える専門家です。私にとって、世界は認識の対象であっても改変の対象ではない。

       もっと分かりやすくいえば、私は地震を研究しているとしましょう。それは地震を止める技術ではなく、地震からいかに早く逃げる技術です。故に、ご提起の課題は、私のキャパを超えているので、残念ながら回答できません。ごめんなさい。

       最後に付言しておこう。

       「民主主義国家がこのような未来しか描けないようであれば、民主主義国家は、『中国の夢』にすら及ばないということになります」ということですが、民主主義国家である日本の国民は、民主主義国家を捨てて、「中国の夢」の共有を目指すことが許されています。が、独裁国家である北朝鮮の国民は、国家を捨てる自由すらない。もちろん、庶民から脱出する自由もない。

       美しい未来でも、普通の未来でも、酷い未来でも、民主主義国家の最大の素晴らしさは、「未来を描く自由」があることです。私個人的にも、この「未来を描く自由」を大切にしています。

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