「天国に至る道は、地獄に至る道を熟知することである」
マキアヴェッリの言葉だ。しかし、多くの日本人は天国など高望みもしなければ、地獄にも目を覆う。高所を目指すのでもなければ、底辺に落ちるのでもない。ただ平々凡々な地上にしがみついていればよいと望んでおり、実に無欲である。
つまり、天国に至る道に興味がなければ、地獄に至る道にも無関心でいられるかという命題だ。ぜひ、マキアヴェッリに聞いてみたいものだ。
「地獄に落ちないためにも、地獄に至る道を知るべし」。私がマキアヴェッリだったらそう答えただろう。多くの日本人がすでに地獄に至る道を歩んでいるのに、なおも目を覆い続けている。地獄を罵り続けている。気がつけば、平々凡々な地上が天国の高さに見えてしまっている。
それが現実なのではないだろうか。