ルアンパバーン(7)~口下手の美点、心の琴線に触れる

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 ルアンパバーンの旅。ビエンチャンに続き、今回は2度目のラオス。印象や感想はいろいろあったが、やはり何と言ってもゆったりと流れる時間が印象的。あのメコン川のように。

 ビエンチャンよりも、ルアンパバーンのほうがさらにスロー。地元の人に「ビエンチャンと比べてどう違いますか」と聞いたら、こう答えられた。「ビエンチャン人はみんな都会っ子。こっちは田舎者だからね、口下手でかないません」

 口下手。むしろそれが美点ではないかと私が思うのである。いまの世の中、口達者な人が多すぎるくらいだ。社会が複雑化するが故に、高い社交性が求められる。そこで言葉によらないコミュニケーションが成り立つだけに、逆説的により高い社交性の体現ではなかろうか。

 自己表現を積極的にしようとしない口下手さならば、日本人と共通しているのかもしれない。素朴、人好し、穏やか、そして全体的性善説・・・。そんな印象が強い。

 食べ物も至って素朴。簡単に下ごしらえして、塩などの調味料で材料をシンプルに仕上げるだけ。なぜか知らないが、心の琴線に触れたのだろうか、目頭が熱くなったこと、何回も。

 ご飯、現地人の日常食であるもち米のご飯。日本米と違う種の「粘り強さ」が際立つ。粘りあってもべた付かない力強さ、黙々とシンプルな料理を引き立てる。

 最後に触れておきたいのは、ラオスの地酒ラオラオ。最初飲んだときの感想をいうと、正直個性の薄い酒であまり魅力を感じなかった。でも、それが飲めば飲むほど、まさにその「口下手さ」が目立ってくる。とても強いお酒ですぐに酔いが回るが、それが引くのも早い。二日酔いどころか、食事を終え軽く一服したところで、すでにシラフ状態に戻っていた。

 不思議な国だ。

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