日東電工事案(7)~「5W1H」で見る報道記事とコンサル事例

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 では、自社実名を使われた会社、さぞかし気分がよろしくないだろう、という仮説が浮上する。

 今まで当社の実名使用に抗議してきた在中日系企業は、今回の日東電工と2年前のセイコーウォッチ(セイコーウオッチ上海殺人事件の報道引用関連)の2社のみだった。

 ただ総領事館まで動員したのは今回の日東電工だけだった。セイコーウォッチは中国の弁護士を通じて警告状を送ってきたが、内容はともかく手続的に正常であると認識していた。

 セイコーウォッチ事件の際、当社は先方弁護士に立場を伝え、法的責任を求める意向なら是非セミナーに立ち会って証拠を確保するよう、セミナーへの出席まで要請したものの、結局、関係者誰もが姿を現さなかった。

 パナソニック社だけは違った。随分前のことだったが、同社実名事例を使った当社セミナーにはわざわざ出向いて、問題所在を確認したり改善への強い意志を見せた。その謙虚な姿勢には、敬意を表したい。

 騒動事件などになれば、現地法人の責任者や担当者が本社に怒られるとか、責任を取らされるとか、とんでもない。それは日本企業の一般的な問題点なのかもしれない。ミスに対する不寛容な姿勢は、現場責任者を委縮させる。現場レベルで問題を握り潰せば、それがいずれ蓄積され大問題として爆発する。

 報道機関のニュース記事はやむを得ず認めるが、コンサル会社が取り上げると一気にかみつく。それはなぜだろうか。「5W1H」で考えれば分かりやすい――。

 速報ベースのニュース記事は通常、「When、Where、Who、What」という4Wを取り上げるにとどまるが、コンサルタントは、「Why」と「How」に掘り下げて展開していくからである。なぜ(Why)こうなったのか、どうしたら(How)そうならないようにできるのかである。

 それにしても、誤報なら必ず訂正させたほうがいいだろう。時事の記事が誤報だと主張しつつも、日東電工はメディアに不作為のままでは自らの主張を無力化するだけではないか。なぜだろうか(Why)?

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