コンサルタントの「飛翔体」問題意識、報じられない不思議とホラー映画効果

 読者の皆さんに、いくつか、質問を提起したい。是非、一緒に考えたい。

 質問その1、読者の皆さん、特に日本人の皆さん、 「飛翔」(ひしょう)という日本語は、これまで、何回使ったことがありますか?

 質問その2、通常、お馴染みの「航空機」、「飛行機」以外に、「飛行物体」という名称はあります。これもUFO(Unidentified Flying Object、未確認飛行物体)の「出没疑惑」以来、知られるようになりましたが、「飛翔体」ということばは、北朝鮮ミサイル発射の一件までに、聞いたことはありますか?

 質問その3、北朝鮮のミサイルの破片が、日本国内○○県内に落下する事故、と、航空機が成田空港付近で墜落する事故、その事故の発生率、どちらが高いのでしょうか?そして落下、墜落した場合、どちらの被害が大きいのでしょうか?

 質問その4、北朝鮮の戦闘機が日本領空に進入した場合、と、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過した場合、どちらが領空侵犯になるのでしょうか?

 質問その5、「飛行」は、英語で「Flying」と言いますが、「飛翔」の英語訳は、何でしょうか?

 質問その6、最近新聞の紙面に躍る文字「飛翔体」、パソコンで「ひしょうたい」を入力しても、出てくるのが、「非招待」(ひしょうたい)でした。(確かに、ミサイルは、「非招待」ですが) なぜでしょうか?

 質問その7、北朝鮮に何らかの問題があると、まっすぐに、必ず拉致被害者家族会のインタビューが新聞の紙面を飾るのはなぜでしょうか?

 質問その8、拉致被害者家族会の運営・活動経費は、拉致家族と民間支援団体だけでまかなっているのでしょうか?

 質問その9、拉致被害者家族会が、日本政府に北朝鮮への追加制裁を求めているのですが、追加制裁すれば、拉致問題やミサイル問題は、解決するのでしょうか?

 質問その10、質問ではありません。声明です。私は、北朝鮮の肩を持つつもりはありませんし、それらしき政治思想も有していません。北朝鮮問題に対し、憤慨を覚えます。ただ、コンサルタントとしての立場から冷静に複眼的に、問題を捉えたいのです。正義論も、感情論も、政治意識もすべてなし、単なる問題意識で見つめてみたい。

 本文は、政治・外交の論説ではありません。コンサルタント視点から書いた企業経営モノです。末尾の結論だけでも、企業の方にご一読いただきたい。

 「飛翔体」という言葉は、学術性が強く、決して一般の社会生活でよく使う言葉ではありません。私は、日本航空編集の『航空用語辞典』等専門資料を調べると、ミサイルの学名が「誘導飛翔体」だということを知りました。

 「飛翔」というよりも、「誘導」という行為が、ポイントではないでしょうか。発射されたものは、一体「人工衛星」なのか「ミサイル」なのかが不明で、とりあえず「飛んでいる」ので、「飛翔体」という名称をつけると。一方、あまり聞きなれない「飛翔体」という言葉で、日本国民が、異常な恐怖感を抱くようになるわけです。一石二鳥といえるのです。推測ですが、日本政府は、今回の用語をずいぶん吟味したのではないでしょうか。

 さらに、付け加えると、「飛翔」の「翔」は人名用漢字で、常用漢字ではないのです。漢字の混乱を避けるべく、常用漢字表の製作に乗り出したのは、国民でなく、日本国政府自身です。「公文書作成の要領」(1952年)によって、日本国政府は、公文書を常用漢字表に基づいて作成すると、自分で決めたのです。だったら、「飛行体」、「飛行物体」などの常用漢字表内字を使えば良いのではないでしょうか。なぜ、国民に難解な「飛翔体」という怪奇用語を使うのか?

 ここまでいうと、大体私の推論に納得していただけるのではないかと思います。

 企業の経営管理、特に、中国のような海外での企業マネジメントは、「飛翔体」モデルが非常に役に立ちます。たとえば、日本人の上司と中国人の部下、日本企業の文化と中国現地の文化が衝突します。言ってみれば、「航空機」と「飛行体」の対立は、双方の主張が平行線のまま、いつまでも結論に至らず、論争が終わりません。そこで、じゃ、あえて双方にとってあまり馴染みのない「飛翔体」にしたらどうかという、「第三の道」を選択する。これは、ナイス・チョイスではないでしょうか。

 「飛翔体」、怪しい、神秘、恐怖・・・これは、日本政府が国民にアピールしたい諸要素です。

 私は、若い頃、好きな女の子をいつもホラー映画に連れていきます。「キャッー、怖い」、恐怖シーンのたびに、必ず手を握ってくるし、体もよっかかってきます。私も、ドサクサにまぎれて、手を彼女の肩に回し、しっかりと抱きしめ、「大丈夫だよ、俺がここにいるんだから」と密着度を高めるわけです。ホラー映画の後のデートは、いつもムードが特段よろしいのは、なぜでしょうね。

 次期衆院選を控えて、小沢・民主党代表秘書の不祥事があって、また、今度北朝鮮ミサイル事件のホラー映画も見事に作られました。そこで、「私がいれば大丈夫だよ」と国民にささやき、存在感をアピールし、密かに不戦勝を狙っているのは、どこの誰なのでしょうか。

 企業経営も同じです。