羽田は国際空港、成田は千葉空港になる日

 先日、私がブログで書いた「羽田空港の完全国際空港化」(2009年10月5日付)は、少しずつ現実味を帯びてきた。

 絶望に陥るJALは、国際線をANAに譲渡する案が浮上している。それを嫌がるANAに、ある取引条件が提示される。それは、ANAが渇望していた羽田空港の国際化なのだ。

 10月12日に前原誠司・国土交通相が表明した成田空港が国際線、羽田が国内線という「内際分離の原則を取り払って、羽田の24時間国際空港化を徐々に目指していきたい」との発言と、ぴったり合致する。

 JALを救うよりも、本命は、羽田空港の国際ハブ(拠点)化構想だ。JALの凋落が羽田の国際化のエンジンになることは、何とも皮肉的だろう。市場メカニズムに勝てるものはない。

 「成田死守」の千葉県、成田市の抵抗を、前原さんが押し切る必要があるだろう。10月16日、成田市や芝山、多古町など連絡協議会の首長らは、前原国交相と会談した。会談後、会長の小泉一成・成田市長は「今後も成田を国際拠点空港として取り組んでいくというお話をいただき、大臣も内際分離の原則は堅持する考えだと受け止めた」と述べたと報じられたが、いかにも無力で、ムードはよく読み取れる。

 そもそも、「内際分離の原則」の根拠は何なのか?決して市場のメカニズムではないはずだ。だったら、政治的に作り上げた原則が市場に合致できなければ、速やかに取り払うべきだろう。そんな原則は、邪魔だ。

 羽田空港は、首都圏の生命線、日本の生命線である。日本経済の復興、アジアのハブになる切り札は、羽田なのだ。

 羽田の国際化という言葉は、まだ曖昧だ。「羽田が国際、成田が国内」が理想像。「成田」は、「千葉空港」になり、せいぜい、国際線のディスカウント・エアラインを飛ばせればよい。利用者にしてみれば、コストのかかる成田空港は当然バリューが下がるわけだ。同じニューヨーク行きでも、羽田発と成田発の二重価格があればよい。格安を求めるツアー客が成田を利用すればよいだけの話だ。これは、市場メカニズムだ。

 羽田空港を24時間の国際大空港にし、新幹線を引っ張り込んで、品川駅の次に、「羽田空港駅」を設ける。国際線で羽田到着後、2時間強で名古屋に、3時間強で大阪に到着できる。すると、中部空港や関西空港も危うくなる?・・・

 そもそも、国土計画はいままであったのかと聞きたくなる。