家族的な企業はなぜ崩壊するのか、甘い経営者の罪

 ヤンゴン出張中に、現地日系企業A社から初の人事労務の相談があった。「まだ、社員数が少ないが、労働法関連今後のことも考えて、早い段階で打つべき手を打っておきたい」と。

 同じくヤンゴン現地日系企業B社のトップは、「当社はまだ社員が少ないので、当座人事制度など考えるほどのものではない」と、面白いことにA社とまったく反対の見解を示している。

97764_2ヤンゴン事務所で人事労務制度の相談を受ける

 中国の事例をあげると、90年代当時、小規模でスタートした日系企業(日本では大手か超大手だが)で、人事制度の構築運用よりも現地トップの意思や判断基準か日本本社から持ち込んだ制度の中訳版で「柔軟」に運用していた事案が多い。「ファミリー的な企業」と自画自賛する日本人トップも少数ではない。

97764_3宿泊中のセドナホテルのロビー、朝、視察や相談の出発を待つビジネスマンたち

 気が付いたら、知らないうちに企業が数十名か数百名になっていて、中国の労働法令も抜本的に改正されたところ、社内で大混乱が起きて収拾不能の末期状態に陥っている、このような事案はあまりにも多い。

97764_4ヤンゴン出張中外出先のランチ、室外気温が40度

 本当なら、初代や先代トップの怠慢責任(善管義務)が追及されてもおかしくないだろうが、何せ90年代当時の特定企業の現場を私がこの目で確認したわけではないし、まあ、一種の「時効」でもあるだろうから、無視せざるを得ない。けれど、ここミャンマーでは、初期段階から追跡し、各社の勝敗のDNAをしっかり確認し、将来の検証に備えていきたい。ちょっと意地悪でいやがられるかもしれないが、やってみたいと思う。