傘商売と雨対策いろいろ

 雨の話、傘屋の商売の話。

 確かにどこかの保険会社の商品宣伝に傘マークがついていて、なるほどと思ったことがある。雨が降らなくても傘の返品ができないし、事故がなくても保険の返品も当然できない。

 ただ、保険屋と傘屋の違いはいざというときである。事故になってからでは、保険屋は当然保険商品を売ってくれないが、雨は降ってからでも傘を買えるのである。土砂降りの駅前で傘の臨時販売が大繁盛。もちろん、通常の売値よりはずいぶん高く売っている。

 以前、ある企業の幹部研修で、「傘の売り方」の事例スターディーをしたことがある。ある受講者はこう提案する――。「傘屋にとっては、ずっと晴れの天気予報が一番都合がいい。いざ降ってきたら、駅前で傘を高く売りつける。しかも、店舗不要の流動販売で固定費がかからない分、利益が厚い」

 なので、傘屋の商売パターンもいろいろある。雨が降るから買っとけという業者もいれば、雨が降ってから高く売りつける業者もいる。お客さんも同じようにいろいろ・・・

 言い忘れたが、雨対策は必ずしも傘とは限らない。レインコートもありえるし、地上に出ずに地下通路を通るのもよし、あるいは家から出ないのも一策であろう。

 このように、傘屋が傘に拘っていると、競争が激しくなり商売が細る一方だ。いよいよ悪天候総合対策プロバイダーに脱皮せずにいられなくなったりする。競争社会は厳しい。傘屋にとっても、予測付かぬ一寸先は闇。