野良犬と野良人間、たまに立ち止まって泣くときもある

 ここのところ重たいネタが続いている。で、軽いネタ、愛犬の話をしよう。

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 犬を飼いだしたのは2009年、上海時代だった。それが、6年でなんといまは犬4匹、猫1匹の大所帯になってしまった。そのうち、犬2匹と猫は野良だった。毎日家の前にやってきて食事を待っていた。嵐がやってきたりすると、あの子たちいまどこで凌いでいるのだろうと涙が出そうだった。妻から提案されて、じゃ、引き取ろうかと決心して全員動物病院に連れて行き、不妊手術をすませ、家族になってもらった。

 愛犬たちそれぞれ性格が違うが、ある共通点に気付いた。生まれてから飼い出した2匹はどちらかというとやや我がままだが、野良組の2匹は控え目というか常に慎ましい姿勢に徹している。序列意識での下位認識もあろうが、それに関係のないところでも基本的に変わらない。

 野良組の2匹はうちに来た当初全く吠えなかった。過酷なサバイバル、生き残るためにも目立たない存在でなければならなかったのだろう。保護して3カ月くらい経過したところ、徐々に吠えるようになって、いまは凄い吠え方で体を張って家を守ろうとしている。

150319-1010-Home右のシェパード雑種「ハナ」は野良組

 散歩時の目線も違う。当初どうも地面のほうに下向いて歩く習慣があって不思議に思ったが、そのらへんに捨てられたファーストフードの残飯を見るや目を輝かせて取ろうとするのだった。習慣化した行動だ。それも徐々に変わってきていまは普通に歩くようになった。

 たまには、近所を散歩中に特定の場所に立ち止まって考え込んだり、涙目で潤っているようにも見えたりするのだが、野良時代の良い思い出か悪い思い出か、きっとその場所に思い出が詰まっているのだろう。

 組織から外れ、野良犬ならぬ野良人間で15年もやってきた自分も何だか、同類感を覚え目頭が熱くなってしまう一瞬だった。人間もたまに立ち止まって泣くものだ。