悪くも資本主義は終着駅、バラ色の将来への賭け

 「いまの社会が行き詰まる」「資本主義は崩壊する」……。

 最近、このような言説が一部見られるようになった。そこで、「資本主義が崩壊したら、何主義になるの、共産主義か」と私が問い詰めると、大体ベーシックインカムやら平等な福祉社会やらで言葉を濁される。要するに「共産主義」だろう。大きな声で言ったら良い。

 資本主義の次の駅、かつ終着駅とされる共産主義は、大変素晴らしい制度である。私は胸を張って大声で言いたい。だが、その駅は設計図だけあっても、工事ができないことが歴史によって証明されたのである。

 だから、資本主義が悪い制度であっても、現実の終着駅になっている。この事実を受け入れるほかに方法はない。いやちょっと待って、将来的に共産主義よりも実現可能で理想的な社会制度が発明される、そういう可能性もあるだろう。

 その可能性、ありますか?賭けましょうか?

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コメント: 悪くも資本主義は終着駅、バラ色の将来への賭け

  1. 崩壊寸前でなくとも、行き詰っているという認識はあると理解した。また、立花氏の議論では、現行の資本主義において格差はますます広がっていくものだということでは同意頂けていると思う。

    さて、格差が広がっていくということはどういうことか。初期の頃は、実力に劣ったものや弱者のみが貧困に陥いるが、これが徐々に拡大していき、知識人やリーダシップ能力のあるものも、格差の下の部分に取り込まれていくことを意味する。

    第一次大戦後の世界では、こうした元中間層のものたちが、ファシズムのリーダーとして活躍するようになった。資本主義の上層部に対する不満、また世界的に広がっていく共産主義への対抗運動として、中間層が中心となってファシズムに傾倒したのだ。

    立花氏は適者生存、弱肉強食の思想のもとに、少数の勝者を生み出すための議論には熱心だが、ますます増加する大多数の敗者に対しては、まったくの無策であるように見える。

    また、立花氏は、共産主義は危険であるとのアピールには熱心だが、それ以上の対策はお持ちでないように見える。大多数の敗者は敗者のままであり、共産主義は危険であるという立花氏の主張を受け入れ、ただただ貧困に耐えじっとしているとお考えなのだろうか?

    放置は無策と同じである。私は共産主義を支持するものでない。また全ての社会主義が共産主義への途上にあるとの考えはない。そのため、資本主義の敗者を危険な方向に向かわせないためには、現状では社会主義的な手段(公共投資、セーフティネット、富の再配分の強化等)しかないのではないかと考える。

    それをせずに、富めるもの一層の富裕化、貧困層の増加を放置するなら、富める者は大きなしっぺ返しを食らうことになるだろう。

    立花氏は、ご自身が信じる適者生存をひたすら進めるだけで社会が平和に立ち行くとお考えなのだろうか?常々、他者の無策を批判する立花氏の良策を是非お伺いしたいと考える。

  2. 歴史的にみると、すべての社会主義が共産主義への過程にあるわけではない。今はその議論は横においておくとしよう。

    問題は、共産主義を否定しつつ、崩壊寸前の資本主義を維持し続けようとすること。立花氏のいう、少数の適者や強者を資本主義の勝者として格差を許容し、かつ共産主義を否定した場合、残された大多数の者たちはどこへいくのか?

    第一次大戦後の、失業者や組織化されていない若者たちは一体どこへ向かったか?ファシズムである。資本主義で生き場を失い、かつ共産主義へ向かわなかった人々はファシズムへと誘導された。

    多数の貧困者を救うのは必ずしも彼らだけのためではない。社会のためなのである。自己責任の議論の結末は、社会全体が負うことになることを忘れてはならないだろう。

    1.  私は、資本主義が行き詰まっていても、崩壊寸前と思っていません。それから、「自己責任よりも社会全体の責任」というのも理論的な正論であっても、かといって是正の実効性はほとんどありません。社会全体の責任を裏返せば、社会全体の意思の体現となり、責任を追及しても意思改変できるのか。

       「自己責任」からの逃避で社会責任という解釈変更を持ち出して、たとえそうであっても、個人ベースでの福利改善につながりません。極めて冷酷なリアリストの観点ですが、否定されても結構です。パースペクティブの違いで一致を求める必要はありません。

       結果的に不平等は「経済成長」の副次的産物である以上、ルソーVSスミスの議論で戦っても、さらにピケティが加わっても結論がでません。共産主義かファシズムかという論は今の時代に通用するかどうか、これから壮大な社会実験が待っているのでしょう。

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