コロナで危うい五輪も、神風たる梅雨がウイルスをやっつけてくれるとさ

 新型コロナウイルスが日本に拡散するなか、7月24日から始まる東京オリンピックは延期や中止もあり得るか。2月15日の報道では、当局者らは「Plan B」(代替案)がないと明言した。

 組織委の森喜朗会長は「無責任なデマも流されたが、東京大会の中止や延期は検討されていないと改めて申し上げたい。政府と連携し、冷静に対応していきたい」と発言した。リスクを客観的に評価し、様々な可能性を検討するのは、デマというのか?中国共産党の疫病処理手法に似てきたような気がしてならない。当局者の聞きたくないことを言ったら、「デマ」。ただ中国と違うのは、逮捕されないくらいだ。

 まだまだ、すごい発言がある。選手村村長の川淵三郎・日本サッカー協会相談役は、「色々な情報を聞く限り、インフルエンザより強いウイルスではないと聞いている。ウイルスは湿気や暑さに弱いと聞いていて、日本には、梅雨というウイルスをやっつける最高の季節がある。日本の知識や経験で必ず克服できると心から感じている」と述べた(2月13日付朝日新聞Digital)。

 これがスポーツ精神というものだろうか。さぞかし耳を疑いたくなる。梅雨は「神風」になり、ウイルスをやっつけ、日本のご加護になってくれる。さらに「必ず克服できると感じている」。いささか太平洋戦争の再現、その当時の思考や行動パターンがそのままではないか。退路を断つ、背水の陣を敷くのもいいが、しかし相手はウイルス。変異するウイルスである。果たしてスポーツ精神に負けてくれるのか。大きな賭けである。

 仮に、梅雨がウイルスをやっつけてくれるとしよう。梅雨入りは5月下旬か6月初旬、1か月かけてウイルスを死滅させるとしても、情況が好転するのは6月下旬か7月上旬。7月24日の開会式まで1か月あるかないかの情況である。各国の選手たちがこれを見て安心して来日してくれるのだろうか。さらにウイルスの恐怖に怯えてきた日本国内外の観客は来場してくれるのだろうか。来なかったら、「風評被害」にすればいい。そういう逃げ道もあるだろう。

 「悪いことになったら、どうするか」という問いを潰し、自分にとって都合の悪い情報を無視し、都合のよい情報だけを持ち出し、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」と自分に言い聞かせ、また他人にも言い切る。正常性バイアスの典型である。悲しいけれど……。

 不謹慎、本当に不謹慎な言い方だが、オリンピックのスタジアムと選手村が新型コロナウイルス感染者の収容所にならないことだけ、心から祈っている。

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コメント: コロナで危うい五輪も、神風たる梅雨がウイルスをやっつけてくれるとさ

  1. 地球温暖化&新型コロナ肺炎死亡者数 VS インフルエンザ死亡者数
    感情 VS 理性 
    Genius is the ability to reduce the complicated to the simple.

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