キノコとルソン島の辺境

 うちのフィリピン人メイドがたくさんの大きな、美味しそうなキノコを採ってきた。何という名前のキノコかと彼女に聞いても、名前は分からないが、小さい頃から食べていたので大丈夫だという。図鑑を調べると、ジャングル・マッシュルールであることがわかった。

 メイドはルソン島北部の海に面した山奥の出身。マニラからバスに揺られて13時間の長旅でたどり着く辺境。生涯に一度もマニラに出てくることがないという人も珍しくない、まさに田舎のまた田舎である。ほぼ自給自足の生活をしていて、エアコンもなければ、水道水もない。近代化とは無縁。

 山から山菜やキノコを採り、海から魚を捕り、来る日も来る日も自然を食し、井戸水を飲む。メイドのおばあちゃんは、そんな生活をしながら、毎日晩酌でおちょっこ1杯の酒を飲み、無病のまま104歳の長寿で天に召された。幸せとは何か。この人たちに聞かなければ知る由もないわれわれこそが、悲しい存在。

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コメント: キノコとルソン島の辺境

  1. いいお話し 有難う御座います
    フランスの 坂東です

    心の休まる 自然の恵みを 頂く

    実家は 新潟
    そこで生まれたが 育ちは 東京

    幼少の頃 夏に帰り おばさん おじさん

    お婆ちゃんに甘えて 夏を過ごした

    やりたい放題 畑に行って 友だちと
    皆で クダモノを モイで わけて食べた

    いい時代でした 過去よ 戻って欲しい

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