日本人の海外事業、なぜ失敗しやすいのか?

 海外ビジネスを中心に、友人や知人から商談を持ちかけられることが多い。私はいつもこう言う。

 「こういう商品(What)どこそこ(Where)売りたい(Sell)」よりも、「誰(Who)どんな理由(Why)いつ(When)どのように(How)買ってくれる(Buy)か」だ。

 「5W1H」の分布。後者に大きな興味がある。漠然と前者しか見えない、なおかつ後者の議論が一向に進まないようなお話しではまずお断りする。お互い時間の無駄だから。「商材」よりも「購買動機」がはるかに重要。この点は商売の基本だ。

 例えば、食関連で海外で成功しているのは、松久信幸氏のNOBUくらいだ。でも、氏はもう日本人とはいえない。NOBUを高く評価する日本人も少ない。だから、松久氏が成功したのだ。成功の原因を理解する日本人も少ない。だから、日本人は海外で成功しない。日本人で海外で小銭を稼げたのは日本人同士がほとんど。華僑のようなスケールや品質にはならない。

 うちの会社も同じ。日本企業相手だった。これ以上は伸びにくい。だから今後は方向転換が必要だ。

 海外事業について、某氏からのメッセンジャーコメントを転載する――。

 「日本人のサバイバル能力が低すぎるので、日本人と組んでも共倒れしかねない。〇〇系現地人と組んでライセンス関係は全部任せて、△△系現地人にマネジメントさせる(ミドルマン)というのがベストだった。ここで気付くのは、純日本人に入り込む余地は無い、ということだ」

 「大半の華僑の能力とネットワークの力は、日本人の15倍くらい強力だ…。仮に日本人をビジネスの中核に入り込ませたとしても、日本人なりの付加価値を注入するだけで、それは日本人感性の中での付加価値であって、現地人にとっての付加価値ではない(過剰価格に過ぎない)」

 実体験に基づく本質の指摘である。失敗の本質である。

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