空前の中国ブームと事業リスク

 東京にいると、空前の中国ブームを体感できる。テレビをつければ、上海の夜景とバブリーな美食、数え切れないビジネスチャンスの誘惑・・・ 日本のメディアは、ムード作りが一流。

 「こういうときに、私は、あえて皆さんに水をかけますが、中国に片思い的な幻想を抱かないようにしましょう。中国は皆さんがイメージしているほど甘い国ではありません。原点に立ち返って、もう一回自社のビジネスを見つめなおそうじゃないか。たとえば、人件費が5年後倍になった場合、それでも利益が出るのか、内販なら顧客が本当にほしがっている商品は何だ、分かっているのか・・・ 中国進出にお金がかかりますが、撤退にもっともっとお金がかかります。中国で成功を収めている日系企業は何割だろうか。勝算はどのくらいあるのか。許される失敗はどこまでなのか・・・」

35909_2東京セミナー(2010年4月14日)

 今日、東京セミナー(アドバンテッジ・リスクマネジメント社、メディカルトラスト社主催)、120名の企業担当者の前での講演の一節だった。

 ホテルに戻ってメールを見ると、複数の応募者から履歴書が送られてきている。最近の応募者(日本人)は、どうみても中国と何らつながりもないような方が多い。どうして、中国なの?いまはブームだから?

 「日中の架け橋になりたい」

 多くの方からこのような共通の言葉が出ている。大変素晴らしい言葉だとは思うが、では、「架け橋」とは何かを問いかけたい。実は、私自身もその答えが分からない。私は、中国で事業を立ち上げたとき、正直、「日中友好」やら「架け橋」などは一度も頭の片隅に出てきたことはなかった。政治家でもなければ、慈善事業家でもない。私はただただ、プロフェッショナルを目指して、顧客のために最善を尽くすとの一念しかない。いまでも、「日中友好」など考えもしない。「次元が低い」と指摘されても、事実は事実だから嘘がつけない。

 というわけで、この中国ブームの行方はとどまるところ知らず、どこまでいくのか・・・

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