外資企業最低賃金1.5倍へ、北京市は率先指導

 北京市の外資企業最低賃金指導ラインは、事実上1740元へ引き上げられる。

 北京市では、外資企業の最低賃金を中国企業の1.5倍以上に引き上げる行政指導が始まった(4月6日鳳凰網等報道)。北京市総工会の発表によると、同総工会管轄下の北京外資企業工会連合会が経営側と集団交渉(団体交渉)を行い、最低賃金を中国企業の1.5倍に相当する月1740元以上に設定することで合意したという。

 新たな賃上げの津波が中国各地に波及することは避けられない。日系企業も対応に追われることになるだろう。

 私が重ねて指摘しているように、日系企業は、「法令対応」の受動的体制から脱出できないのが一種の自転車操業だ――。法令政策が新たに出るたびに、対応に追われる。

 昨日のブログにも書いたとおり、「すでに起こった未来を見極めること」は経営者の責務である。先の先まで読み、先手を打っておき、さあかかってこいという姿勢だ。

 羽生善治名人は、「守りたければ、攻めなければならない」と語った。多くの日本人、日本企業は大変保守的、保身的だ。が、「先手を打つ」というのが究極の保身であることを知ってもらいたい。リスクを恐れて何も手を打たないのは、「慎重」ではない。ただの「不作為」と「職務怠慢」である。

 待っていると、死ぬのみ。何かをやれば、死ぬ確率、生きる確率が半々。選択肢は明白だ。

 中国の人件費は、5年で倍になることはほぼ確実だろう。昨日のブログでも書いたとおり、これだけコストが上がれば、中国は必ず競争力を失い、ある意味で老化が進み、衰弱する。いや、もしかすると、「未老先衰」。

 凋落の命運から逃れる唯一の道は、中国は10年以内に世界を誇るトップクラスの技術やブランドを生ませることだ。いま、中国の競争相手は、日本ではなく、韓国だ。