<KL>海鮮火焔ムッツリ鍋専門店、燜焼の極意と美味

 クアラルンプール美食、絶賛の一店舗を発見―順徳料理・海鮮火焔ムッツリ鍋専門店「有米気(Youmiqi)」。えっ、ムッツリ鍋って何?それは、私独創の造語である・・・。

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 ロイター時代元上司ご夫妻(マレーシア華人)と会食。いつもの和食でなく、たまに私も負けずにローカル系の店を発掘しようと、探し当てたのはここ!ミッドバレーKL日本人会から南のJalan Klang Lama(俗称「Old Klang Road」)の道路沿いにある一店。

 まず、順徳料理について若干説明する。順徳とは広東省の一地方だ。広東料理たるものは、広東省内の各地方料理の集大成であり、この中には大きく、広州料理、潮州料理、東江料理(客家(ハッカ)料理)、順徳料理の四大料理に分けられる。潮州やハッカなら知っていても、順徳を知る日本人は少ない。

 順徳は珠江デルタ地域の奥まった場所にあり、海鮮以外に肉類も多用される。調理法では、中華料理全般に見られる手法の他、特に土鍋、鉢、盆などを用いて蒸し焼きにする料理が有名である。この店の看板料理である海鮮火焔燜鍋もまさにその蒸し焼きである。

 中国語の「燜」(メン)というのは複雑な調理法で、適切な日本語訳がない。私の理解でいうと、土鍋や土がめ、盆に食材を入れ、ふたをしっかりしたままとろ火で蒸し焼き、水分を確保しながら煮詰めるという意味であって、中国語では「燜焼」(メンソウ)という表現がよく使われる。

 ただし、警告だが、「燜焼」(メンソウ)という言葉は勝手に使わない方がよい。ここのところ、「燜焼」は、同音語で「悶騒」(メンソウ)にも通じ、まったく別の意味で使われている――。口に出さずに、情事や色事に対して無関心を装うが、本性は徹底的に好色でスケベな人のことに使われている。そう、ムッツリスケベということだ。

 確かに、この調理法にそっくりだ。「ムッツリ鍋」といったほうが良さそうだ。このムッツリ鍋の特徴は、長時間の煮込みで汁気が飛ばされないために、まず、火焔で瞬間に加熱する――。魚などの具材を独自の酒ソースで炒め上げ、さらに酒スープをかけ、蓋をしたところで点火する。3分ほどで汁気よりもまず酒が飛ばされ、香りだけしっかり具材とスープにしみ込んだ状態で、はい、いただきますと。

 ムッツリ○○○に火を付けるという何と危険な挑発行為だろう。味はご想像にお任せしよう。飽食したところで見渡すと、店内の周りに美女客が多いことに驚く。

 ぜひ、お試しあれ。火焔ムッツリ鍋 in クアラルンプール。 

 有米気(Youmiqi) 57, Batu 3, Jalan Klang Lama, TEL:03-7980 0855