トランプ大統領は離任後、引き続き戦い、再起を図る。私は支持者として主観的にそう願っている。ただ、いざ自分がその立場に置かれた場合、どうするか。
彼は離任後、どんな状況になるかという問いに関して、彼の敵である民主党・社会主義者側に聞いたほうが早い。
まず、政治的包囲網。トランプは行政パワーをすべて失っても、草の根と少数のエリートに根強い人気がある。これに対して、下層民には生活補助をばら撒く。支持者のエリートたちには、キャリアと引き換えに、トランプ支持姿勢の放棄を迫る。トランプ派を「テロ化」して社会的存在を抹殺する。米国版文化大革命だ。
次に、経済的包囲網。トランプは大統領就任前の資産が35億ドルほどあったが、今は25億ドル。退任して1年以内に恐らく5億ドル以上を失う。上記の政治的包囲が拡大し、トランプ系列企業との取引を打ち切る企業が続出し、経営難に陥る可能性も出てくる。国内だけでなく、反グローバル化のトランプは海外事業の拡張もそう簡単ではない。
トランプの借入は間違いなければ、10億ドルくらい。このままでは2~3年(もっと早いかも)で底につき、債務超過のリスクもある。私は職業柄、経営上のワーストシナリオを描くことが多い。トランプが再起を図るなら、まず資産ポートフォリオの抜本的改善に取り組まなければならない。
彼は事業の失敗を何度も繰り返しながら、成功を収めた人物だというが、その時は今と違って、純粋なビジネスだった。政治はほとんど絡んでいなかった。敵も少なかった。今は政治、国家公権力が敵になったわけだから、再起はそう簡単ではない。
「トランプ頑張れ」の掛け声で解決できない問題が、山積だ。彼自身の決意や英知、そして運にもかかっているが、社会主義者側の早期分裂があれば、追い風になる。いざ権力を手に入れると、カリスマ指導者の不在や利益分配の内ゲバなどで基盤が脆弱化する。そうした可能性も十分ある。
いずれにしても、米国が一時的に暗黒時代に突入するだろう。
天は自ら助くる者を助く。天は無為の善人を助けない。自助軽視・他力本願の者は助からない。善は必ず勝つと念じ、信じるよりも、なぜ悪が勝ったかを分析する。悪は知恵(悪知恵)をもっている。時には善よりも善戦する。この事実を無視したらいつまでも勝てない。世の中は、善が勝つのではなく、勝ったものが善なのだ。だから、負け方を知り、勝ち方を学び、そして勝つ。それしかない。
正義は勝つ。ただ、いつ勝つか、勝つまでの挫折をどう乗り越えるか、代償を誰がどう払うのか、といった現実の問題に答えを出していく必要がある。正義は勝つ、念じれば勝つものではない。現実に目を向けよ。