文字の塊も「空間」、改行で考える「美的感覚」

 最近、特に若い人でビジネス文書を書く時も、頻繁に改行する習慣がついている人が多い。おそらくメールやブログの影響ではないかと思うのだが・・・

 私は古い人間のせいか、恥ずかしいが今だに理解できないことがある――。メール文書はなぜ、一言一句、「。」か「、」に合わせて一々「Enter」キーで改行するのだろう(技術的必要性があるのかもしれないが)。まるで、詩やメニューのようだ。

 私にとって、「Enter」キーはあくまでも、段落変更のために(新たにひと段落を開始するために)あるものだ。たとえ、メール文書に設定文字数の制限があって改行する場合でも、どちらかというと文字数に合わせての「強制的」改行であって、意識的に「。」「、」に合わせて改行したりはしない。

 思考の連続性もあるし、ビジネス文書の体裁もある。新人社員に、いろいろ私がうるさく言うのである。

 メールの場合、ワードのように設定文字数に合わせて強制改行してくれないので、文書とにらめっこして、文字数を意識しながら、打っていかなければならない。それでも、奇麗に段落ごとをまっ四角形に揃えてメール文書を送ってくる人がたまにいる。思わず尊敬してしまう。

 私は大学建築出身のせいかもしれない。文字の塊も「空間」として意識すると、「美的感覚」云々の世界に突入してしまうのである。

 ちなみに、最近の私のビジネスマナー研修にも、「メール作成のマナー」を盛り込んでいる――。「美しいメールは、他人との差別化、受信側に深い印象を与えるためのツールである」と。