ざわわ、ざわわ、木漏れ日揺れる激戦地に平和なひと時

 木漏れ日を浴びる緑が優雅に軽やかなダンスを披露する。心地よい秋の風が疲れきった上海の街を優しく癒す。木漏れ日の中で、温もりがいっぱい。すべての生命が太陽の光を受け、生きる喜びを謳歌する。

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 木々が風に揺れ、その音を探していくと、ふとある歌が耳元に鳴り響く。

 ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
 ざわわ ざわわ ざわわ 風が 通りぬけるだけ・・・

 「さとうきび畑」、沖縄を背景に作られた歌。さとうきびが風に揺れ、爽やかな「さわさわ」でも、雑音めく「ざわざわ」でもなく、「ざわわ」という表現が用いられた。沖縄戦で散った人々の尊い命を悼んで作ったそうだ。

 いまや、経済最前線の上海は、沖縄に負けない激戦地。企業戦士の一人ひとり、たまに、この木漏れ日が揺れる「ざわわ」に耳を澄ましては、どんな思いでいようか。

 こんな平和で、美しい上海は、年に何回も見ることができない。雲ひとつない真っ青な空って、本当に美しい。自然の色彩に満ちた街は、カラフルに見える。

27473_3ゴン太君は2日後1歳の誕生日を迎える

 木漏れ日に誘われ、愛犬のゴン太君を連れて、マンションの庭を散歩することにした。ざわわ、ざわわ、ざわわと木漏れ日の中で、ゴン太が欣喜雀躍。この平和な風景は、彼の目にどのように映っているのだろうか・・・小さな命でも、生きる限り、幸せになってほしいな。

27473_4自宅から珍しく森タワーがくっきり

 我が家のベランダから、久しぶりに、浦東・森タワーの雄姿がくっきりと見え、夕日を浴び、青空を背にした上海のスカイラインは、誠に美しい。いつも充満していた殺伐とした雰囲気は、どこかに消え、安らかで優しい街に温かい母性愛さえ感じてしまう。

 木漏れ日とざわわだけは、いつまでも、変わらない。変わってゆく世の中、些細な変わらぬ風景に心魅かれ、無性に幸福を感じる一刻一刻を大切に、命に刻んでおきたい。