スト拡大中、労組発起大会のようなスト対策セミナー

 ストライキは、引き続き蔓延している。系列部品メーカーのストライキで、22日にはトヨタ自動車の広州工場(広東省)で操業が停止した。トヨタ自動車株が続落している。

 なぜか日系の自動車メーカーばかり狙われている。という声もあるが、何も自動車だけではない。ほかの業種にも確実にストライキが蔓延している。日本を代表する自動車産業を大々的に取り上げているのは、メディアのインパクト狙いも込められているだろう。

 今年に入ってから、当社の数百社の日系企業顧客のなかでも何らかの形のストライキが確認されたのは、4社に上る。もちろん、未確認件数も存在するだろうから、このサンプル調査の結果で考えると、在中日系企業のストライキ率は驚くべき数字になるだろう。なお、今後も増加する一途だろう。

 6月29日、当社が上海で開催する「人件費高騰時代のスト・賃上げ対策セミナー」では、ゆったりと40名定員の会場に、何と70名の申し込みが殺到している。増席しても対応しきれず、机なしのスタッフ席でも参加したいという企業が続出している。それに、日本の主要メディアの取材班も入る。会場のエアコンは対応できるのかと、懸念し、対策を練っているところだ。まるで労働組合発起大会のような熱気だといったら、少し皮肉かもしれないが、中国の労働政策と現場情勢の急変は、いかに凄いものかを物語っている。

 早い段階で企業制度の改革に着手した顧客の来場は少なく、余裕を見せている。中国のこと、事件が起きてから、法令が出てから慌てて対応する日系企業の体質は、変えない限り、状況は改善されない。

 「いまなら、まだ間に合う。これ以上手遅れになったら、中国撤退しか道が残されていない」、セミナーで、私は声を大きくして繰り返す。