911テロ事件十周年、「企業内テロ」対策の水際作戦考える

 9月11日、アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)は今日で10周年になる。多くの命が奪われたうえ、ニューヨークの世界貿易センタービル・ツインタワーが一瞬にして崩壊した。

 10年前の今日、上海の自宅で見たCNNの臨時ニュース、特に2機目の激突とツインタワーが次々と崩壊する生中継の記憶はいまも鮮明に甦る。衝撃は消えることがない。

63861_2在りし日のNY世界貿易センタービル(93年11月ニューヨーク滞在中)

 あの日を境に、世界が変わった。あるいは、新たな時代に突入したと私の中ではそう感じたのだった。冷戦時代の終結で、決してバラ色の平和世界が訪れることなく、信仰や価値観などより精神面的な衝突が表面化する時代に突入した。

 貧富の格差、資源配分の格差、宗教や信仰そして何よりも価値観の差異によって形成された利益集団の対立が激化し、テロ行為へと発展する。911事件後、リーマンショックなどもあっていよいよアメリカ型資本主義への批判が強まる一方だ。アメリカ型の資本主義がベストではないが、それより優れた社会制度は存在するのだろうか。

 インドにはカースト制度、日本にも昔、士農工商という身分制度があった。民主主義時代の今日では、このような上下関係のいわゆる「縦型」身分制度が存在しえない。その代りに価値観の分化による「横型」のグループ形成に注目されたい。

 これは国も企業も同じだ。ただ、国は異なる価値観をもつ国民全員を包容しなければならないのに対し、企業は価値観選別ができるのである。

 企業の人材選抜は技能や経験よりも、価値観を最重要視する必要がある。飛行機の操縦技能は、安全運航にもテロ活動にも使える。どう活用するかはその人の価値観によって決まるのである。企業の価値観(企業文化)を共有できない社員はどんどん排除されなければならない。何といってもまず採用段階の選別、水際作戦が欠かせない。既存者については少なくとも優遇すべきではないだろう。

 企業内テロの防止策は価値観選別に尽きる。在りし日の世界貿易センタービルの写真を眺めていると、そう感じた。