<北京>日本料理・和坐、身も心も豊かにしてくれる人生のBGM

 北京も、いよいよこんないい日本料理店ができたね。火曜日の夜、北京で打ち合わせ終了後、顧客企業の総経理、幹部たちに招かれて会食へ。今回は新しい日本料理店、「和坐(わざ)」。

 私のブログはずいぶんお客様に迷惑をかけている。この場を借りて謹んでお詫び申し上げる。以前は「グルメ」で、美味しい店を探して気遣ってくれたのだが、今度は「ダイエット」と、これは困った。「グルメ」と「ダイエット」、どっちが優先か。それが欲張れば、「or」よりも「and」、「選択」よりも「両立」がいい。いい加減にしろ、調子に乗るんじゃない!と一喝されても返す言葉何一つない。世の中、そんな虫の良い話が転がっていないのは百も承知だ。

 が・・・、ちょっと待てよ。話が違う。「和坐」はまさに、「グルメ」と「ダイエット」の見事な両立を実現させてくれる店なのである。

91622_2北京「和坐」、やまやの明太子焼おに茶漬けと漁師汁

 正直、以前のグルメ時代だったら、「和坐」のコースではボリュームがやや少なかった。おそらく会食を終えて、ホテルに戻る途中でどっかラーメンやワンタンを食べていただろう。店の量が決して少ないわけではない。昔の私は大食いで食べすぎていたからだ。

 この店はどうやらコースしか用意されていない。それは資源の集中投入が可能になり、無駄を省き、パフォーマンスの高い料理を出すうえで大変良いポリシーだと思う。当日いただいた8品コースは、前菜3種盛り、雲丹茶碗蒸し、刺身、メイン(肉か魚)、食事、デザートとなっている。食事につく漬物と汁物も1品ずつと計算して、8品になるのだが、昔の私だったら、これは6品のミニ懐石と捉えていたかもしれない。

 その大食いサイズが直近のダイエットで、レギュラーサイズに変わったこともあって、量的にJust Goodだった。刺身の次に、焼き物が出てくるのではないかという期待感が一瞬点滅しながらも、ダイエットを貫くという使命感とが、体内と脳内で激戦を繰り広げる一幕もあった。という私の心境上の葛藤を察してくれたかのように、サービス担当の根本さん(本当に綺麗で優しい女性だった)が最後に、「もしよろしかったら、蕎麦もご用意できますが、お持ちしましょうか」との一言で、私は完全に放心状態に陥った。何も考えられずに茫然と、本当に自然体、受け身のまま、美食物語に流されてしまった。心身ともにだ。

 上質な料理とサービス、そしてリラックスのできる和の空間・・・。グルメ手記は、「質」よりも「量」のことを書いていたら、人格が疑われる。そんなリスクを承知しながらも、「質」のことに敢えて触れずに、「量」について書かせてもらった。

 その晩、美食が体の隅々まで溶け込んだまま、ぐっすりと眠りについた。北京の一晩、美食万歳。美食は物語だ。人生のお伴で一種のBGMである。身も心も豊かにしてくれるBGMって素晴らしい。

★日本料理 和坐
<住所>   北京市朝陽区麦子店西街38号三全公寓倶楽部1階
<電話>   010-6508-8022
<営業>   11:30~14:00、18:00~22:30
<予算>   400元~700元/人