北京の水餃子、発票の要不要で考える足し算利益誘導型人事制度

 12月10日(月)朝便で上海から大連へ飛び、大連で打ち合わせが終了すると、その足で北京へ。

 北京といえば、水餃子。今回も夕食はホテルの近くの餃子店でとることにした。豆腐料理と炒め物1品ずつと水餃子3両(15個)で大満足。はいごちそうさま、お金を払って領収書くださいなというと、「発票(領収書)は切らしてます。三日後取りに来てくれ」

91597_2私の定番「北京出張定食」~水餃子

 これだ、脱税の確信犯。発票を切らしていたら、最初から言えば良かったじゃないか。そこで発票の要らない人は座って食べる。どうしても発票が必要な人は他所へ行く。いざ客が食べ終わって、発票がないというのは、確信犯としか言いようがない。最近、この類の店は少なくなってきたが、完全に消えたわけではない。

 どうしてもというのなら、そこで公安や工商、税務に電話を入れるといえば、おそらく何かしら他所の発票を用意してくれるだろうが、たかが数十元の金額だったので、そのまま店を去った。

 後でタクシーの運転手にこのことをいうと、「よくあることだよ。お客さん、勘定を値切った?発票出せないんだったら、料金を安くしてもらえばいい。安くしてくれるよ」

 さらに、運転手が原因を分析する。「まずは大衆店。接待でもない個人客だったら、発票は必要なし。役に立たない紙切れよりも、割引のほうがおいしい。次に出張者の場合、3日後発票を取りに来いというのがミソで、大抵出発しているし、高い金額でもないので諦めるだろう・・・」

 いやいや、脱税店もなかなかの知恵だが、この運転手も負けていない。ここまで論理的に分析してくれるのはコンサルタント顔負けだ。

 そういえば、中国では、「発票がいらなければ、料金を安くする」というのは、一種の社会現象だ。小さいところは餃子店、大きい金額となれば、賃貸物件の個人家主が特に多い。払った家賃に発票を求めると、じゃ発票代を負担してくれと。

 国もあの手この手考えて、発票をくじ付き式にしている。要は発票をもらうと、当たることもあるから、消費者に発票要求の動機づけとなるわけだ。

 よく考えると、発票をくじ付きにするのも、発票放棄の代わりに代金割引にするのも、「足し算」方式だ。要は利益供与である。これは中国の人事制度に多く参考される価値がある。罰則は「引き算」なので、「引き算」よりも「足し算」をうまく活用することは中国人事労務の極意だ。