和僑?日本人が華僑になり得ない真の理由

 マレーシアをはじめアジアや世界各地でいろんな華僑や華人に出会う。彼らの中に中国や中国文化を明言で誇りにしている人はほとんど見ない。彼らはたった1つのプロトコール(仕様)を共有しているだけ。

 私が今(2022年9月16日)、マレーシア、インドネシア、フィリピンの国境地帯の漁村にいてここの華人もまたこのプロトコールで行動している。彼らが所在国に浸透しつつも所在国からのプロトコール的逆浸透を受けることはない。日本人が真似して「和僑会」といった代物を作っても所詮上部だけの猿真似。

 血統・血縁以外の要素は全て排除する。どうしても特徴を言うなら、彼らの言葉には「帰国」という単語はない。あるのは「帰宅」だけ。なので、「中国ビジネス」という日本的概念はナンセンス、世の中にあるのは「華人ビジネス」だけ。「中華」の真髄は「中」でなく「華」にあるのだ。

 日本人は属地。華人は属人。

 「和僑」は「華僑」のコピーにもならない。華僑ネットワークの本質は、3つある。

 1. 金融機能を持つ。銀行をはじめ全て揃っている。
 2. 政治機能を持つ。所在国の政権に浸透している。
 3. 制裁機能を持つ。日本人村以上の村八分が可能。

 和僑には?だから、和僑会の方には申し訳ないが、同好会のようなものを自慢しないほうがいい。日本人が華僑のようなネットワークを作れない根本的な原因は、日本社会における家族の崩壊にある。

 社会の最小共同体単位は、家族。それに取って代わる会社などの組織はあり得ない。社会主義者は家族を切り崩し、個人の国家依存を押し付けた。過去の共産中国は会社のことを「単位(ダンウェイ)」と読んだが、最終的に中国人の家族共同体切り崩し作戦に失敗した。しかし、日本は成功した。そういう意味で日本人の社会主義への親和性が高かったと言わざるを得ない。

 「華僑」仕組みの基盤は、家族、血縁。地縁は氏族に源を求めるだけに結局血縁に依存している。因みに日本人の海外同郷会は、同郷という接点を持った同好会でしかない。「和僑会」はついに組織存続のための組織になり、肥大化し、一部分裂が起こったのもそのためだ。

 日本人にはまず家族の再建に取り組み、基盤づくりが必要だ。正社員制度がある意味で崩壊した方が有益だ。家族回帰、Back to family!

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