垂涎の的シベリアをゲットか、中国の大勝「第二のアフリカ」を凌駕

 中国によるシベリア進出は、ロシアの内諾を得たという中国筋情報。今まで中国を警戒していたプーチンはついに腹をくくったようだ。

 天然ガス、原油、鉱物、木材、石炭、発電、耕地、食料・農産品、マンモスの遺骨・象牙…。

 シベリアは超巨大宝庫。中国にとっては喉から手が出るほど欲しい、まさに垂涎の的。中国はロシアにない豊富な資金、技術、人材・労働力をもっている。ロシアが中国の本格的な進出を許せば、シベリアは第二のアフリカ、いや、アフリカを上回る存在になる。

 中国は自国のエネルギーや食糧問題が一気に解決するだけではなく、以下5点の戦略的メリットを手に入れる。

 まず、エネルギー。9月15日、中国、ロシア、モンゴルはロシアの天然ガスを中国に運ぶパイプラインの建設を進めることで合意した。つまり欧州向けの天然ガス供給を西から南へと方向転換することだ。ロシア制裁によって中国はエネルギーの中継貿易・転売で大儲けする。

 次に、金融。中露間の膨大なエネルギー取引は、人民元・ルーブル決済に切り替え、脱ドル基軸がその勢いで進む。またロシアはエネルギー輸出で稼いだ人民元を使って中国からものを買う。あるいは「物々交換」で中国の資本や技術をロシアに入れることも可能だろう。

 さらに、農業。中国はシベリアの耕地を利用すれば、中国国内の胃袋を満たすだけでなく、農産物の地元ロシア向け、あるいは日本向けの供給も可能になる。中国は製造大国プラス農業大国にもなり、サプライチェーンの拡大につながり、日本や世界の中国依存をさらに強めていく。

 そのうえ、シベリアにおけるインフラ建設や農業開墾は中国の余剰生産能力や労働力を吸収し、国内経済低迷の緩和と解消に貢献する。

 最後に、中国は東北地域の大発展だけでなく、シベリアを通じて北上すれば、北極へのアクセスを手に入れる。東西の「一帯一路」に北極から赤道(ASEAN)までの南北を結ぶ縦軸を加え、十字架経済圏の構築が可能になる。さらに第一列島線ないし第二列島線の突破をもって、ハワイを目指して東方展開すれば、中国は十字架の中心に位置するまさに「中」の国になる。

 こんな中露の結合をもたらしたのは、ほかでなく、アメリカのバイデン政権だ。西側諸国の宿命かもしれない。

<次回>