「十字架経済圏」、中国が世界の中心になる日

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 ロシアが中国のシベリア進出を許せば、中国は北極へのアクセスを手に入れる。東西の「一帯一路」に北極から赤道(ASEAN)までの南北を結ぶ縦軸を加え、「十字架経済圏」の構築が可能になる。

 横軸と縦軸で構成される座標平面は、第1象限、第2象限、第3象限、第4象限の4つの領域に区分される。中国の「一帯一路」は見ての通り、第3象限の全部と第2象限の一部において展開している。特に第3象限はその延長線上にあるアフリカを含めてほとんど手に入れた。

 しかし、シベリアないし北極に浸透していくと、第2象限の全域と第1象限の一部にまで勢力範囲が拡大する。ここまでくると、あとは第4象限だけだ。第4象限には大きな邪魔が横たわっている。それは日本と台湾だ。そこで中国はすでに南太平洋から包囲網を張り始めた。

 2019年、ソロモン諸島とキリバス両国は台湾を切り捨てて中国に転向した。さらに2022年4月、ソロモン諸島は中国と安全保障協定を締結した。続いて5月、中国の王毅外相がソロモン諸島、フィジー、キリバス、サモア、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、東チモールを歴訪し、着々と布石を進めている。

 第一列島線は事実上すでに崩壊している。南太平洋からの包囲網によって第二列島線を突破すれば、中国はハワイの手前まで浸透してくる。「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」。これは2013年6月、習近平が米国を訪問し、オバマに伝えた言葉である。米中による太平洋分割統治論とも呼ばれるが、ハワイを境に東太平洋を米国が、西太平洋を中国が支配するという考え方だ。

 ここまでくれば、座標平面の第1から第4までの全象限が中国勢力の支配下に置かれる。私は「十字架経済圏」あるいは「十字架勢力圏」と呼んでいるが、中国はその十字架の中心に位置するまさに「中」の国になる。

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