【VOA 取材記事・ラジオ放送】『前参議院議員江口克彦氏:台湾有事即ち日米有事』=中国語記事『专访前日本参议员江口克彦:台湾有事等于日美有事』(2021年9月21日付ボイス・オブ・アメリカ(VOA))(抄訳)
日本・東アジア情勢研究会は今年(2021年)7月末に『台湾有事 どうする日本』(注:共著・立花聡執筆『第7章 日台第一列島線同盟タスクフォースFICATの構築』)を刊行。編集総責任者である研究会の理事長、前参議院議員江口克彦氏は、VOAの独占取材を受け、研究会設立の経緯や目的、本書刊行の背景や内容、主旨を紹介した。
同書は、国際学術界と政界の注目を浴びている。江口氏は書籍の刊行とシンポジウムの開催によって、日米の政界と学術界、そして社会一般の認識を深めたいと主旨を説明した――。中国による台湾侵攻すなわち日本侵攻、ひいていえば中国による太平洋侵攻でもある。米国は大きな脅威に直面している。言い換えれば、台湾有事は日米有事だ。
研究会は本書の編集と並行して一連の活動も開始し、台湾の環太平洋パートナーシップ(TPP)への正式加盟を支持するよう日本が国際社会に働きかけるなど、日本の政界に一連の政策提案を出した。新型コロナウイルス感染症の影響でシンポジウムの開催が順延となったものの、研究会は日本の与党および衆参両院の議員らに政策提案を配布したところ、台湾を巡る外交や安保政策を議論するプロジェクトチーム(PT)の新設などからみても、すでに日台安保対話に重大な影響をもたらした。
『台湾有事 どうする日本』刊行後、すでに日台の学術界、政界と社会から大きな反響があった。SNSでは、中国語版と英語版の出版を求める声も高まっている。江口氏は次のように紹介した――。
「この本は、それぞれの章を担当する8名の専門家によって共同執筆されている。台湾情勢が日本に影響し、日台間の緊密な関係については、研究会および8名の専門家の深い賛同とコンセンサスに基づいている。日本は現行憲法9条の制限を受け、安保関係の法律があっても、米国のような台湾関係法を制定するとなると、そう簡単ではない。故に、専門家の意見を集め、殊に『台湾有事即ち日米有事』を日本の政界と社会に浸透させ、危機感をもたせ、必要な措置を早急に講じるよう政界に働きかける一方、日本社会における民意の形成にも積極的に取り組みたい」
本書は、地域安全保障、人権問題、中国の対台「三戦」(世論戦・心理戦・法律戦)、戦略協力、国際社会、経済・科学技術など各方面を網羅している。
国際経済・産業事業協力の専門家である立花聡氏は担当章に、第一列島線の戦略的重要性を強調し、北端にある日本と台湾が経済・産業・技術等方面における協力を強化できるかどうかは、経済安保のキーであると指摘した。
江口氏は次のように述べた――。「中国の台湾侵攻計画をとにかく推進するだろうから、運命共同体である台湾の陥落を、日本は座視できない。いざ有事になれば日本はどうするか。日本人がもっている武士道とは何か、再考するときがやってきた。台湾がいざ中国共産党政権に併合されれば、日本を含む東アジア諸国が中共の属国になる。日本人は強い危機感をもち、自問しなければならない――。「台湾有事、日本はどうする?」