<東京>和風フレンチかフレンチ風和食か、銀座みつ和

 2010年7月24日、結婚20周年記念日。

 銀座の「仏蘭西料理・みつ和」で夫婦水入らずのひと時を過ごす。レストランの個室を予約したこの日、なんとしてでも、羽田着の飛行機には遅れてほしくなかった。願いがかなったのか、虹橋発の便は1分も狂わず羽田に到着した。

 記念日といっても、例によっての食いしん坊三昧。

40939_2オマール海老のポワレ 花ズッキーニの詰め物野菜のマルムラード

 私は、本格派フランス料理が得意ではない(南仏系・地中海沿岸部の仏料理はOK)。あまりにもエレガントな雰囲気で肩が凝ってしまう。あとは、ソースよりもどちらかというと私は素材派である。シンプルな味で感動し、さらっとした後味が好きだ。何を隠そう。フランス料理の食後に、いつもラーメンを食べるという我が輩の流儀は、あまり大きな声でいえない。でなければ、落ち着かない。翌朝まで胃腸の機能が停滞し、気分が悪くなってしまうこともある。決して、フランス料理が悪いわけではない。アジア人としての味覚DNAのせいだと思う。

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 ここ、みつ和はまさに、食後のラーメンが不要なフランス料理店である。本日の献立は、以下である。

シェフの本日の前菜
グリエし旨出汁で煮含めた冷たい加茂茄子、トマトと枝豆を添えて
穴子のタルト、木の芽の香り
ガスバチョとバジリコのソルベ
オマール海老のポワレ、花ズッキーニの詰め物野菜のマルムラード
シャラン産鴨のロースト、エピスの香り or 和牛フィレのグリル胡麻マスタード、実山椒醤油
鮎御飯、和のセット
デザート
コーヒー

 オマール海老も、鮎ももちろん活である。全体的に、ジャパニーズタッチを強く感じさせる献立である。極めつけは、やはり食事。なんと、鮎御飯に、味噌汁と香の物がついて出てきたのだ。食卓のセッティングに箸がついているのも嬉しい。

40939_3シャラン産鴨のロースト エピスの香り
40939b_3ピュリニィ・モンラッシェ1999

 そして、本日の一本は、ピュリニィ・モンラッシェの白、1999年。ブルゴーニュ最高の白ワイン産地の一つ、世界最高峰辛口白ワインを生む偉大な畑、「モンラッシェ Le Montrachet」の名がついている。あまり冷やしすぎると、風味が損なわれるので、さっと数分間クーラーにくぐらせるだけでいただく。黄金色。癖がまったくない円熟なテイスト、アロマティック、程よい酸味、キリっとしたミネラル感・・・和風フレンチにぴったりだ。

 「今日の料理は、日本酒でも良かったわね」、妻のさりげない一言で気付かされた。たしかに、冷えた上質な吟醸純米でも、最高にマッチする。

 というと、「和風フレンチ」か「フレンチ風和食」か、分からなくなってしまう。どうでもいいのだ。食べる人も創る人も満足感を得られれば・・・。

 「20年、あっという間ですね。おめでとうございます」。気が付いたら、コースの終盤に差し掛かり、レストランのスタッフから祝福を受ける。

40939_4鮎御飯

 「20年、あっという間」・・・

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 夫婦とは、時間が経つにつれ、見つめ合う間柄から、同じ方向を見つめる仲に変わる。20年も経つと、同じ方向を見つめるだけでなく、オーラも似てくる。最近そう言われている。最高の褒め言葉として受け止めている。

 シェフの川端清生氏に、お礼の挨拶をし、店を後にした。今日は、どうやら締めくくりのラーメンは要らないようだ。

★仏蘭西料理 みつ和
<住所>   東京都中央区銀座3-2-15 ギンザ・クラッセB1F
<電話>   03-3561-3200
<営業>   11:30~14:30、17:30~23:00 (平日)、11:30~22:00(土)、11:30~21:00(日・祝)
<予算>   15,000円~25,000円/人