狗不理包子の経営精神

 3月7日(月曜日)、天津S社。日曜日午後半日の打ち合わせが終わらず、月曜午前はその続き。

 昼過ぎ13時に打ち合わせ終了。渋滞を恐れ、顧客とのランチを諦めてそのまま空港へ直行。チェックインを終え、ゆっくりと空港レストランで昼食を取る。

 メインは、天津名物の「狗不理(ゴープーリ)包子」、天津独自の肉まん。

52701_2天津空港で「狗不理包子」を食す

 「狗不理包子」の由来は、清朝にさかのぼるが、当時天津に包子専門店があり、店主は高貴友といい、渾名が「狗仔」という。「狗仔」は意地っ張りで、一度意地を張ると小犬が遊びに来ても相手にしなかったという。それで、みんなに笑われ、さらに「狗不理」というあだ名が付けられた。

 その「狗仔」は料理について大変研鑽し、包子を作る時、入念に材料を選ぶだけでなく、その製造技術も非常に優れていた。美味しいという噂を聞きつけた当時の太后もその包子を食べて絶賛したという。この噂は瞬く間に広がり、商売は大繁盛。しかし、あまり繁盛になりすぎて、接客の時間もなくなったため、「狗仔」はあるアイデアを考えた――。

 まず、お箸とお碗をテーブルの上に並べておく。客はお碗に食べたい分だけのお金を入れ、それを「狗仔」に見せる。「狗仔」はお碗に入っているお金と引き換えに、相当分の包子をお碗に入れて、納品する(衛生上の問題があるが)。この作業の間、「狗仔」は一言もしゃべらず、作業に専念するのだった。それで街の人たちは「狗仔は包子を売る時にも、誰も相手にしない」と笑って、高貴友の店に「狗不理」という名前が付けられ、彼が作った包子も「狗不理包子」と呼ばれるようになったそうだ。

 「業務工程の標準化」、「改善」、「労働生産性の向上」・・・経営学の真髄は、古く中国の地にも根ざしてきた。そして、天津S社の後日の従業員研修に、格好の教材にもなる。天津の地で、「狗不理包子」の経営精神を新たな形で蘇らせる。