坊主刈りに節電勲章を、大多数正義と少数不正義

 髪形は「節電カット」に――。日本の某ゼネコンが男女問わず社員に短髪スタイルを求めている。短髪なら、ドライヤーを使わず節電できるからだ。

 趣旨はいいが、何だか戦中のムードが漂う。となれば、ドライヤーの製造メーカーが困るのではないか?美容院は?頭に傷痕があって髪で隠している人間は?・・・

 ドライヤーには、二つの機能がある――。頭髪乾燥機能と美容機能。短髪は主に前者の問題に着目しているが、後者はまったく個人の美的感覚の問題になる。機能面を見ても、短髪にすると、頻繁に美容院へ通わなければならないというデメリットがあるのではないだろうか。

 ちなみに、私の場合、髪の毛が硬くて、短くすると毛が総立ちしてとても人前に出られるものではない。髪が短ければ短いほど、ドライヤーで一生懸命抑えつけなければならない。このような髪質の人もほかにいるはずだ。とすれば、バリカンで坊主刈りにしたほうがベストになる。

 大多数の正義で少数の不正義が生まれる。これが怖い。節電はいいことだが、根本的な問題はどこにあるのか、一人ひとりが真剣に考えているのか。