セミナーで商品宣伝させて!鯨と蝦のプロモーション戦略談義

 先日、某「世界級」の有名大手日本企業A社中国現法トップから、当社への挨拶訪問を、しかも私指名で求めてきた。会社規模で言えば、鯨とエビ。挨拶するだけということはなかろう。まあ、話を聞いてみようと思って受け入れた。

 挨拶はそこそこに、さて要件は。「実は、立花先生のセミナーに、少しお時間をいただいて、弊社製品の説明をさせていただけないかと・・・」。大きな取引もなく、初対面にしては、ずいぶん唐突だなと思いつつも、まずは主旨を聞いてみようと。

 A社ほどのスーパー大企業は、製品のプロモーションならいくらでも広告やら人的資源やら投入できる。なぜ、当社のセミナーか。その答えには驚いた。「立花先生のセミナーに、一流の優良日系企業が集まるから」である。

 なるほど、A社のターゲット客層(セグメンテーション)に集中して商品を売り込める。効率が良い。立派なプロモーション戦略である。私はこう答える。

 当社のセミナーは、すべて有料だ。しかも安くない。その一部の時間を割いて、それを特定企業の商品宣伝に当てるには理由が必要だ。その理由をいただければ、是非前向きに検討しよう。そして、そのA社商品の説明がお客様に相当の価値を提供できる、しかもお客様もそれを認めるなら、是非やろうではないか。提案をくださいと。

 数か月が経った。ついに、提案は来なかった。残念。残念なのは提案が来なかったことではなく、私に逆提案があったのに、A社が機会損失を蒙ったことである。