労働法改正の強行通過――。フランスのオランド大統領は10日、憲法49条3項の発動によって、労働法改正案を議会での採決を経ずに強行通過させた。
まったくの正論であって、適正な「強行通過」である。
雇用主が従業員の労務管理・解雇を自由にできない。雇用の柔軟性が確保されない限り、労働市場は硬直化し、経済成長の阻害になる。雇用された労働者の利益ばかり守られては、雇用されない人たち、労働者にすらなれない人たちの利益が無視、軽視される。
優秀な人材が雇用され、昇進昇給の厚遇を受け、無能怠惰な者が解雇され、企業から排除されることは、労働市場・雇用の流動性である。この流動性をなくして、経済の活性化があり得ない。
フランス労働法の改正は、長期的に経済停滞の回避、雇用の拡大、ないし競争力の増強というフランスの国益に合致する。既得利益にしがみつく反抗勢力は必ず存在する。思い切ってやらないとダメだ。
「強行」に踏み切ったオランド大統領の英断に拍手を送りたい。