反省の日々

 昨日も今日も2日連続、浙江省と江蘇省の日帰り出張だった。

 大型コンサルの受注が相次いでいる。この2週間、人事制度構築案件を3件(蘇州Y社、天津S社、浙江省K社、共に2年間の長期プロジェクト)、中堅幹部候補の年間研修を1件受注し、その他中小規模の案件では、労働仲裁4件、人事制度・労働契約の審査修正依頼数件、コンサルの受注ピークを迎える。

 最近は、顧問企業からのリピート依頼だけでなく、口コミや紹介、情報を聞きつけてのコンサル案件の依頼が急増している。このブログを見て、「立花さんの人柄で依頼を決めた」という総経理もいて、とても感動した。当社は、営業機能がまったくなく、広告も一切行わない方針に徹している。「信用」「信頼」が何よりの財産であって、何よりの広告である。

 以前、どこかで読んだ覚えがある――。「中国ビジネスで、コンサルだけで食べていける会社はめったにない」。コンサルはどうも付随的な機能として位置づけられているようだ。

 某有名コンサルタントがこう教えてくれた――。「商社の付属機能として存在するコンサル会社は、基本的に、商社の顧客に情報を提供し、顧客の維持が主目的だ。あるいは、商社の新規顧客を獲得するための営業マンとでも言うのか」

 決して商社系のコンサル会社が悪いわけではない。ただ、顧客の利益になるが、商社の利益にならない情報と助言を、顧客に提供できるのか、このような側面も否めないだろう。

 そして、中国の様々な地方政府から提携(要は日本企業の誘致の手伝い)を申し入れられることも多々あったが、すべて断った。A地方と提携し、企業にとって非提携のB地方がもっと適している場合、コンサルタントとして中立の立場を失う懸念が生じるからだ。

 顧客利益の最大化は、プロフェッショナルとして常に考えるべきことだ。「利益相反」の恐れがある分野には、絶対に手を出さない。そして、コンサルティング一本で、メシを食っていく決心が必要だ。私自身も完璧ではない。他の分野(外食産業)に手を出したりすることもあった。大きな焼けどした苦い経験があった。以来、絶対に「浮気しない」ことに決めた。聞こえの良い「事業多角化」、「百貨店」的なことを絶対にやらない。小さな靴屋だけに全身全霊を傾けることに決めた。

 独立系、どこの資本も受け入れない、どこの役所や官庁とも提携関係を持たない、コンサルティング機能のみ、純粋な第三者の立場でものをいう・・・これは、当社エリス・コンサルティングが目指すものである。

 経営戦略コンサルタントとはいえ、よく考えると自社の経営には戦略らしき戦略がなかった。ただ当たり前のことを当たり前にやり、分からないことは分からないと正直に言い、そして勉強する・・・いたって質素なビジネスモデル。

 仕事が順調に行っているとき、お客様への感謝の気持ちは一刻も忘れることなく、反省、反省、また反省のときでもある。今日も、明日も反省の日である。