愛犬と一緒に旅に出る。広大な緑地を全力疾走してもらいたい。週末は、愛犬のゴン太君を連れて、蘇州の金鶏湖へ向かった。
中国は、決してペットに優しい国ではない。ほとんどのホテルやレストラン、公共交通機関(航空機では荷物扱いで託送可)では、ペットが門前払いされる。
愛犬同伴の旅にどうしても出たい私は、一生懸命インターネットで検索してみた。日本語も中国語も結果がゼロで、最後に英語で、「Pets Friendly China Hotel」をキーワードにし、中国国内のペット同伴可ホテルリストを突き止めた。蘇州には、たった1件――。蘇州和喬麗晶公寓酒店(Chateau Regency)。早速、ホテルに電話してみると、「良いですよ、連れてきてください。10キロ以下の小型犬ならOKですよ」と快諾された。
金曜日夕方までに仕事を切り上げ、18時前にゴン太君を車に乗せて蘇州へと一路快走。
ついてみると、いわゆるサービスアパートメントホテルで、1LDKや2LDKの部屋だった。ホテルの客室というよりも、マンションの1室。大型冷蔵庫から電子レンジ、ガス、鍋、食器までそろっている。さすがご飯を作る気にはなれず、夕食は外食。
金鶏湖路沿いの露店では、ワールドカップ開幕式の観戦客で盛り上がっている。サッカーの情熱をまったく持たない私は、テレビが設置されていない静かな中華料理店に入った。もちろん、ゴン太君も同伴。
「なぜテレビを置かないんですか」、明らかに顧客数がよその三分の一しかないこの露店の老板に聞く。
「テレビを置いたら、お客さんが(観戦で)深夜まで帰らないから、困ります。どうせ、中国チームも出場していないし・・・」、老板は正直に答える。
「えっ、中国チームは、あのワールドカップに出場していないの?」、まったくのスポーツ音痴である私。
「知らないんですか。予選敗退ですよ。北朝鮮も出られるのに、恥ずかしいよ、中国は」、一緒に食事する運転手は笑う。
「どうしてですかね、オリンピックでは強かったのに」、私は不思議に思った。
「団体プレイに弱い。中国人はチームになると、バラバラで勝てません。勾心闘角(ゴーシンドウジョウ=内紛、内部闘争)というんですよ・・・」
人事の問題だ。インセンティブや考課基準、配分ルールの問題が大きいのかもしれない。何だかどこに行ってもドロドロの世界があるのだね。
ホテルの羽毛布団に埋もれ、深い眠りについたゴン太君は、時々足をピクッと動かせながら、きっと原野を疾走する夢でも見ているのだろう。