大都会嫌い、立花が地方都市暮らしを選んだ理由

 引っ越しまで1か月を切った。私は、東京、上海、香港といった世界的大都会に長く住み、クアラルンプールという小都会を経て、いよいよ今度は田舎までいかなくとも、スレンバンという地方都市に移り住む。

 スレンバンは、人口37万人、宮崎市同等規模。クアラルンプール都心から65km、距離感的には鎌倉に相当する。田舎とはいえず、自然豊かな地方都市である。私は大都市嫌いになったのは、40代後半から。そもそもマレーシア移住もそのためだった。

スレンバンの街並み

 大都市を嫌う最大の理由は、3つ。

 1つ目は、選択肢が多すぎること。選択肢が多いのは良いとされているが、その反面、選択肢が多すぎると、選択するにコストがかかり、疲弊化する。人生は選択の連続というが、加齢とともにシンプルな生活がよく、その原点は選択肢を減らしていくことだと感じた。

 2つ目は、生活圏が大きすぎること。上記に関連しているが、人口規模が大きいと、街の生活圏が広がり、移動距離も長くなり、交通機関の乗り換えやら、駐車スペースの確保やら「取引コスト」が増える(スレンバンの生活圏は直径3~6km)。

 3つ目は、コストパフォーマンスの悪さ。これは単純に私個人の生活・仕事のスタイルと価値観に基づく判断であり、普遍性はない。KLのツインタワーを眺めても、私は全く感動がない。それよりも鬱蒼とした森、遠方に広がる地平線が私にとってはるかに魅力的だ。

 ただし、大都市と比べられないのは、地方都市の文化的な貧弱性。私にとってみれば、クラシック音楽のコンサート鑑賞ができなくなるのが減点になる。ただし幸い65kmの距離は致命傷ではない。定期的にコンサートに合わせて上京し、数泊して食べ歩いて帰宅するのも気分転換になり、悪い話ではない。

 というようなことで、来月からはスレンバン生活が始まる。