他社とはどこがどう違うの?新人教育における上司のあり方

 とても嬉しいことがあった。新人日本人社員の一人から聞かれた、「当社と同業他社、根本的にどこがどのように違うのか、よく分らないので、見込み顧客にうまく説明できません。教えてくれませんか」。

 おそらく一生懸命、売り込もうとしているからこんな質問が出てきたのだろう。分らないことは素直に分らないと、聞くことは、とても素晴らしいことだ。その一方、老婆心でそのまま教えてしまうのが最悪の上司で、新人の「考える力」を潰してしまうことになる。私は、教えない。ヒントだけ与えて、自分で考えてもらうようにしている。

 「私たちと他社のどこが違う?それは私たちがどう捉えているかよりも、お客様がどう見ているかがはるかに大切で、それが、他の顧客や見込顧客の参考になるはずだ。だから、お客様から見たエリス・コンサルティングの姿を知ることが何よりも大切だ。これからのあなたの仕事の一つになる」

 セールスするな!企業が抱えている問題点や困っていることを、できるだけたくさん聞いてこいと。それが、私が新人に明確に与えた唯一の指示だ。当社は、販売職を設けない。商品やサービスは、確実に顧客のために役に立ち、問題解決できれば、自然に売れていくものだ。