Windowsの奴隷になるな、難しい文章と簡単な文章

 会員誌用のレポートを新人社員に書かせてみた。まだ完全に使い物にならないが、いい感じになっている。加筆したものを見せ、ポイントを説明した。

 われわれは文章を書くとき、読む相手の心をもって書かなければならない。簡単そうに聞こえてもそう簡単ではない。特に弁護士やコンサルタントになると、どうも難解なことばっかり書くきらいがある。いわゆる専門性を表現するのもいいが、学会ではあるまいし、とにかく企業人にわかりやすいものを書かなくては読まれない。

 契約書などの法律文書はもちろん、きちんとした法律用語と相応の体裁が必要だが、通常ビジネスパーソンの読み物になると、話が違う。わかりやすいものが一番。が、ひとつだけ欠かせないものは、ロジックだ。

 文章を書くときは、まず、頭の中でパーツをパズルのように組み立ててみる。ロジックが完全にできたとき、初めてパソコンと向かい合う。Windowsの奴隷になってはならない。特に、パワーポイントは、きまった枠組みがあって、見出しやポイントの枠に、文字を埋めていく作業をやっていると、完全にWindowsの奴隷になった気分だ。

 文章は、書くために書くものではない。相手が知りたい情報や自分の考え方を伝えるための道具である。

 簡単な内容を難しくするのが簡単。難しい内容を難しいまま伝えるのが難しくない。難しい内容を簡単にするのが一番難しい。

 良い文章とは、簡単で、わかりやすいものだ。日々、心の鍛練の腕磨きだ。