人事制度の改革は、痛みが伴う。長期的な成果を目指して、目先、短期的な痛みに耐えられるかどうか。各社総経理や経営幹部らの苦痛耐性と意志力が問われる。このために、従業員が嫌がることだけでなく、日本人経営者も嫌がるようなことを、我々が言わなければならないのである。
周りから、立花さんは何もそこまで言わなくてもいい、逆に顧客企業の問題が長期化、慢性化、悪化すれば、後続・追加コンサルで多大な利益につながるのではないかという声も上がっている。それは重々承知している。これでは、医師が患者の病気を長引かせ、診察費を頂戴するようなものだ。職業倫理上決して許されるべきものではない。もちろん、患者が治療放棄したのだから、医師に責任がないと言われたらそこまでだが、我々として最後の最後まできちんと伝えるべきことを伝えたかどうか・・・
人事制度の改革、根治治療に激痛が伴う。それが痛みが落ち着き、治療効果が出始めるのに2~3年はかかる。普通の日系企業なら、大抵次の総経理が成果を享受することになり、逆に現任総経理と経営陣が多大な苦痛に耐えなければならないことになる。現任総経理にかかってくるのはリスク、経営責任である。総経理もサラリーマンである以上、自身のキャリアや出世(私利)を考えずにいられない。これは正当であって、何も非難できることではない。
人事の問題は、長年の蓄積に起因することが多い。前任総経理や前々任総経理の不作為や問題回避、問題先送りが原因であることが多い。それを問われることなく、出世道を辿り続けることは不公平であって、また現任総経理の思い切った改革、それに伴う一時的な問題を責任として追及することも同じ不公平である。このような日本企業自身の問題によって、中国での企業経営を近視眼化させていることは、もはや放置できないところまで来ている。
最近、40代後半だが、60歳定年まで中国で総経理をやり続ける日本人経営者も出現している。本社社長に直訴してコミットメントさせる事例である。長期に立脚した戦略があってこその強い経営である。それは多くの日本大企業に欠けるものであり、莫大な資源を中国で無駄にしている問題の根源でもある。
今日、某大手社の総経理にメールを送った。その結尾を掲載する。
「人事制度の改革というより、意識改革だということは申し上げた通りです。中国人従業員の意識改革以前の問題で、日本人経営陣の意識改革にあると思われます。私のこのメールは間違いなく、○○総経理をはじめ日本人幹部の皆様の気分を害することになると思い、『確信犯』のつもりで書かせてもらい、送信ボタンを押させていただきます。いままで他社で数社の経営者に同じようなことを申し上げたことがありました。もちろん、その中の大半はコンサル契約の解消、また不更新の結果になりました。それでも言わせていただきます。私は、貴社が2~3年でがらりと変わり、強い経営が貫かれ、高い生産性と利益を上げ、中国一の○○○○になることを切望しております」




