同胞軍団逃避行か、辺鄙なリゾートにやってきた中国人たち

 今回のプーケット休暇で泊まるホテルは、アリンタ・リゾート(Aleenta Resort)という、日本人がほとんど知らない地域に位置する孤立した小さなリゾートである。

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 ロケーションを正確に言うと、プーケット島ではなく、タイ本土のパンガー県である。プーケットのほとんどのメジャービーチとリゾートホテルは、国際空港の南側の広大な島部地域に分布している。一般的な観光客は空港から北上し、しかも橋を渡ってタイ本土のパンガー県に立ち入ることはほとんどない。

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 辺鄙なリゾートを選んだ第一の理由は、正直に言うと、プーケットに殺到する中国人観光客の大軍団から逃れるためである。とにかく私は、騒々しいのが、いや言葉を変えよう、賑やかなのが苦手だ。それ故、大軍団が向かう方向に逆行するのが大前提で大原則となる。

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 しかし、期待が見事に外れた。2泊目の金曜夕方から、2~3組の若い中国人カップルがチェックインしてきた。やっぱり逃げ切れなかったのかと後悔したところ、いや意外にも皆が派手な行動を取らずに静かだった。プールにピンク色の巨大キャラクター浮き輪(幅と高さがそれぞれ2メートルほど)を浮かべるのが場違いだったかもしれないが、それ以外の問題はいまのところ、ない。

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 食事のときも、静かにしゃべっているし、ウエイトレスに「エクスキューズミー」や「サンキュー」と礼儀正しく応答している。いやいや素晴らしい。そういう人がもっとたくさん増えればいいのにと密かに思った。

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 実は最近聞いた話によると、「中国人団体客が行かないような観光地に行きたい」という中国人観光客が増えているそうだ。同胞の集団から逃れようとする行動の内実や意図はさておき、このような人たちが確実に一つの消費者層として形成しつつあることは間違いない。

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 もしかすると、アリンタ・リゾートにやってきたこの中国人客たちは、同胞軍団から逃れてきた逃避行の人たちであれば、いささか嗜好や価値観を少しでも共有できる同士ではないかと、勝手に私が妄想を膨らませているところだ。