中国に喰われた日本人、日本人に喰われた日本企業

 「中国に喰われた日本人~大陸へ渡ると、そこは日本以上の格差社会でした」(2016年04月26日付「現代ビジネス」)。――昼下がりの一服には格好のつまみ。

 ここ数年、中国に多くの日本人が押し寄せた。私は仕事柄、大手日系企業の管理職駐在員との付き合いに偏っていることもあって、このようなルポを読むととても新鮮に感じた。

 よくよく考えると、「中国に喰われた日本人」とは何もルポに書いてあるような「現地組」だけではない。大企業のエリート駐在員の中でも、中国に喰われた人物は少なからずいる。ただ、「現地組」と違って彼たちは、企業というセーフティーネットが付いているから、中国に喰われても何食わぬ顔で日本へ帰国できるのだ。

 「現地組」は自分自身が喰われるのに対し、駐在員は会社が喰われる。もっと悪質なのは、少数ではあるが、中国の悪にどっぷりつかって、喰われるどころか喰う側に加担して会社を食い潰し、背任の罪に値するか、その一歩手前まで到達する日本人連中だ。

 朋党を結び、一見いかにも中国に馴染んだかのようにも見えるが、そこにあるのは、中国ならぬ日本人に喰われた無残な日本企業なのだ。本国なら目立ってしまうからなかなかできないことは、中国で出来てしまう。これもひとえに日本企業海外拠点の内部統制・リスク管理の欠落にほかならない。

 天高皇帝遠。中国のことわざを思い出す。お上の目や力が届かない遠方にいれば、やりたい放題という意味だが、まさにその通りだ。

 悪は必ず罰せられる。私はそう信じている。

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