「あの悪夢」で野党を捨てる愚、日本人よ賢くなれ

 野党政権といえば、「あの悪夢」という定番キャッチフレーズ。ステレオタイプや思考停止とはこういうことだ。「悪夢は2度とないよう、政権は常に自民」という結論が定着した時点で、自民が腐り始める。腐っても倒れないから。まさに「安全安心」のひとこと。

 このメカニズムから、どんな結論を導き出すかは人それぞれ。私は次のように思う――。

 根源的には、自民の問題ではない。利を欲する人間個体の問題だ。組織があるところ、特に権力を伴うところ、欲と悪は指数関数的に増長する。それが当該組織単体にとどまらず、周辺の関係者にもどんどん拡大・浸透していくのだから、たちが悪い。これを抑止するには、時折のリセットにほかならない。

 自民の長期政権は、日本の安定成長期に適合した出来事であって、今は状況が本質的に変わった。企業や産業の寿命が劇的に短縮した以上、政治も然り。しかし、大方の人はこの原理を察知していない。いまだに「安全安心」というこれも、思考停止をさせる空虚なキャッチフレーズに騙され続けている。

 「安全安心」はどこにあったのか。自民党という組織にとってみれば、確かに安全安心だった。野党支配時期の「あの悪夢」に助けられたとさえ言える。国民にとって不覚にも「あの悪夢」から別の悪夢になっていないか。

 時代の変化に即応できる機動的な政治が必要だ。利権にも流動性を注入すれば、政治家の人材も平均分布していこう。「自民党を引き摺り下ろすために野党に投票する」といわれてみれば、その通りだ。引き摺り下ろすことに意義があるからだ。自民党には頭を冷やす時間が必要だからだ。

 自民党が優秀な政党ならば、次の選挙で政権を奪還すればいい。日本人が優秀な国民であれば、次の選挙で自民党に票を投じればいい。それだけのことではないか。

 悪夢を恐れずに、悪に立ち向かったところで、はじめて悪の抑止ができる。日本人よ、もっと成熟し、もっと賢くなれ。

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