広告やらない、オーナー系店探しの幸せ

 ここ数年、「広告を出さない」店や「オーナー系」店に凝っている。

 店が客に情報を与え、来てくださいとラブコールを送る、というのが広告。これは、「I Love You」。広告をやらない。客が自分で情報を探して、店にたどり着く。そして、常連になる。これぞ「You Love Me」。それだけ魅力があることだ。

 写真は、最近何回も通っているバー「SHANTY」(武夷路)。手作りとはいうが、上海ではかなりの完成度だ。手作りだから落ち着く。

25729_s_2

 大変申し訳ないが、私は、チェーン店(飲食関係)があまり好きではない。セントラル・キッチンとかで作られたものと聞いた途端に、食べる気を一気に失う。材料から下ごしらえ、調理、そして出し方まで、すべてマニュアルに制御され、流れ工程になっている。そして、最後、それを食べる私も何だかその流れ工程の一部になっているような気がしてならない。

25729_s_4

 小さいころ、チャップリンの「モダン・タイムス」を好んで見たが、ああいう感じかな・・・

 フランチャイズを反対しているわけでもない。日用品や家電などはむしろ、流通ルート上のメリットがあって良い。個人商店で買ったテレビも、量販店で買ったテレビも同じテレビで、安い方が良い。食事になると話が違う。やはり手作りを求めてしまう。

25729b_s_4

 年に1回か2回くらいは、チェーン店のレストランとかファーストフードに行くが、忙しいなかの生命維持行為としか考えていない。それなら、流れ工程でも問題ない。あとは、マーケティングでいくことになる。

 上海で、私が美味しいと思って食べているところ、飲んでいるところは、独立店舗やオーナー系ばかり。何というか、ケアされているという実感が湧く。

 以前好きで通っていた飲食店で、人気が出てどんどん店舗が増え、ランチャイズ化すると、私は二度とその店に戻ることはなかった。株式公開を目指すのが経営者の夢だということは十分理解できるが・・・私は消費者として、処理されたくない、ケアされたいのだ。

 消費者は神様ではない。努力が必要。判断力も必要。そして、店にも客を選ぶ貫禄を持ってほしい。私が通っているある店のオーナーは、こういう「広告にお金をたくさん出すなら、そのお金でもっといいものを作ってお客さんに出したい」

 素晴らしいではないか。その代わりに、消費者も自助努力を怠らない。そのような双方関係が必要なのだ。

 広告メディア業、フランチャイズ業は絶対に必要で、否定する気持ちは毛頭ない。あくまでも個人的嗜好と感受を述べるまでだ。ちなみに、私の好きな店で、大儲けするところは皆無に近い(とは思うが)。それだけコストがかかって、経営効率が悪いからだ。でも、オーナーも客もこれで幸せなら、最高ではないか。

 経営コンサルタントとして、経営効率の悪い店が好きだなんて、私はよほどの悪人だなあ。はっはっは、今宵も広告のやらないオーナー店探しに街に繰り出そう・・・そう、幸せ探しに。